魔法少女を愛する友人の話
彼の名は田中隆太(仮名)
私の高校時代からの友人です。
彼の第一印象は、授業中に電子辞書を見ながらニヤニヤしているヤバい奴でした。
後に判明したことには、田中は電子辞書の中に『魔法少女リリカルなのは』の二次創作小説データを入れて読んでいたそうです。夢小説です。辞書読んでニヤニヤも相当アレですが、中身が夢小説とは馨しいことです。
「どのキャラが好きなの」と訊ねると、彼は数学の難問を解くときと同じ表情で、
「誰が好きってことはないけど、強いて選ぶなら…普通に、なのはさん…かな(デュフフ)」
と応えました。選ぶってなんだよ。そのとき私は、彼にとってキャラクターは人間と同格なのだと知りました。
田中と私は同じ大学に進学し、イタリア旅行では男4人衆のメンバーになるくらい仲良くなりましたが、彼の魔法少女趣味が変わることはありませんでした。
童貞街道を突き進む彼を幾らか心配に思っていた私は、しかし大学卒業前に衝撃の事実を知ります。
それは彼の部活の先輩が、彼に好意を寄せているという情報です。色白で背の低くアニメ声でメガネっ子な彼女は、ほぼ魔法少女でした。
彼女が云うことには、
「田中くんの話ってすごく面白いし、読む本の趣味とかが合うんだよね。でも田中くん…モテるだろうし…私がアプローチしたら迷惑かな…(アニメ声)」
私の知る限り、田中がモテたことは生涯一度もありません。彼の話を面白いという感想も初めて聞きましたし、彼と読書の趣味が合う女性が存在するということが俄かには信じられませんでした。デート商法や宗教勧誘かもしれないと一抹の不安を感じながら、一方で彼女がカラオケでALI PROJECTやSound Horizonを熱唱する姿を思い出して、私は妙な安心感を覚えました。
これは奇跡です。
是が非でも成就してほしい。
ほどなく私の暗躍によって魔法少女×田中のデートが実現し、穏やかな交際に発展した数年後、二人は結婚しました。
魔法少女リリカル田中の誕生です。
リリカルな二人は、きっと今も仲睦まじく暮らしていることでしょう。思う念力、岩をも通す。魔法少女を愛し魔法少女に愛される男の小話でした。
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の願いが成就しますように。
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