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世の中は伝言ゲーム/病院受診時のコツ

 伝言ゲームというものがあります。

 ある文章を5人とか10人とかで列を作って1人ずつ伝言していって、最後の人が回答するというアレです。幾つかのチームを組んで元の文章に最も近いものに加点するような試みもあるでしょう。

 殆どの場合、情報は変容し見る影も無くなります。

 一字一句違わずに暗記し正確に伝えることは、そもそも人間の脳における曖昧な記憶形式から考えて困難に見えますし、どうしても主観になりますから、情報を受けて発信するまでに、何らかの修飾を受けて然るべきであろうと、私たちは理解します。

 伝言ゲームの形をしていれば笑い話で済みますが、これはゲームに限った現象ではありません。当然、現実社会においても伝言ゲームと同じことが起きているはずです。

 噂話は典型で、尾鰭がついたり願望が入ったり、まるで生き物のように変化しながら成長していくものです。一次情報の真偽に関わらず、何次情報かも不明な噂話には信憑性がありません。

 火の無いところに煙は立たぬといいますが、その諺が誤りです。その煙が本当に煙なのかどうか。蒸気や雲や花粉や化学物質かもしれません。煙が煙だったとして、火があるかどうかは別問題です。火のようなものがあっても、火とは限りません。もっといえば火があったら煙が立つかというと、そんなこともありません。適切なガスの完全燃焼による青い炎は煙など出しません。

 高度情報化社会においては「煙にみえるもの」がいったい何なのか、そしてその現象の背景にはどのような事象があるのか、見極める心構えがなければ即情報弱者に陥ります。

 諺の作られた当時は煙のもとには火があることが多かったのだろうけれど、最早そういう時代ではないことを此処に明記します。


 病院というものは、様々な職種のスタッフが多く働く組織です。医学の専門家は医師のみで、看護師は看護学の、他の職種はそれぞれの専門家であることに留意が必要です。

 例えば初診患者から受診の問い合わせがあったとき、まず電話は総合受付に通り、そこから専門科毎の外来や医療連携室等に回ります。事務、医療事務、准看護師、看護師その他いろいろなスタッフが関わりながら、手続きが進みます。

 すると、伝言ゲームです。

 医師のもとに情報が伝わる頃には、大体よく分からない感じになっています。これは救急医療の現場や他院からの紹介にも通ずることで、その混乱の不利益を被るのは患者本人に他なりません。

 それで私は、一次情報以外は信用しないようにしています。何なら一次情報にもバイアスが大いに掛かりますから、医師として自分の目で見たもの以外は大体信じません。するとバイアスを回避しながら、驚くほどスムーズな診療ができるものです。


 さて、話がとっ散らかってきましたね。

 ご安心ください。

 伝えたいメッセージはたったひとつ。


 主な症状をシンプルに伝えること。



 いつから、どんな症状。これだけです。

 一番つらい症状をひとつかふたつ選んで伝え、あとは訊かれた質問に応えるのが最適と考えます。

 詳細は受診直前に問診票に記載すればいいし、どうしても伝えたいことは簡単なメモにして診察時に見せればいい。一生懸命たくさんの情報を電話や窓口で話しても、その先は伝言ゲームです。



 拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、貴方が必要なときに適切な医療へ速やかにアクセスできますように。



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#同じことを何回も話さなきゃいけないのはそういう背景がありますので
#問診票か医師に会うまではシンプルにしちゃったほうがいいです
#いつからどこがどうなのか
#悪化なのか不変なのか改善なのか繰り返すのか
#例えば
#4日前から頭が痛くて熱もあって悪化してきたとか
#2ヶ月前から咳が出て良くならないとか
#朝6時から左手が動かないとか
#最初に欲しい情報はそれくらいです

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