微分積分、それからベクトルの話。【漢方医放浪記】
「微分積分が一体何の役に立つのか。」
そう問われた高校教師は答えました。
曰く、大人になってから日常生活で使うことはないかもしれないけれど、微分積分がなければ現代文明は存在しません。それくらい皆さんの日常生活になくてはならないものが、微分積分です。と。
微分はグラフの傾きで、積分は面積です。
数式に表すと難解に見えますが、ただそれだけのことです。例えば日常診療においても、微分積分を意識することがあります。
漢方診察の脈診と腹診が良い例でしょう。
脈診は微分的で、その瞬間を鋭敏に感知します。
腹診は積分的で、数日から数週間あるいは数年間の集大成が表れます。これを理解すると脈診と腹診の結果がズレる場合があることも理解できます。
漢方治療の方向性はベクトルで考えます。
多次元の座標空間をイメージしたとき、ゼロ点に持っていくのが治療です。簡単のため、x軸を表裏(裏表)、y軸を虚実、z軸を寒熱と考えます。
便宜上、裏・虚・寒をマイナス、表・実・熱をプラスと考えます。
表裏は脈の浮沈(≒脈圧)でみる病態の深さ、
虚実は脈の強さ(≒血圧)でみる抗病反応の強さ、
寒熱は脈の数遅(≒脈拍数)でみる炎症と冷えの状態です。
図示すると、こんな感じです。
この三次元座標のズレをゼロ点に動かす方向性のあるエネルギーが漢方薬です。
すなわち漢方薬はベクトルです。
不調(x, y, z)を表熱実証(10, 6, 5)と表現するとき、治療薬(-10, -6, -5)が必要です。これは(-5, -3, -2.5)でも傾きが同じですから有効で、例えば葛根湯が効くかもしれません。
なんだか話がとっ散らかってきましたので、このあたりで締めさせていただきます。なんとなく役に立つかもしれない、風邪に使える漢方薬の渡邊脳内図をご紹介させていただきました。サラッと書きましたが、この記事には重要事項が散りばめられておりますので、ピンときた方はご質問くださいませ。
せーのっ
診察は微分積分、漢方薬はベクトル。
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、風邪に使われる漢方薬が、適切に処方されますように。
#数学の話だと思った ? #ざんねん漢方でした
#数学がすき #でも漢方の方がもーっと好きです
#風邪の診療って実は難しいものです
#麻黄湯と小青竜湯って似てるんだよ
#だって青竜は麻黄のことだから
#小青竜湯 #麻黄湯 #大青竜湯 #三段進化
#それが #名前の由来
#附子は玄武だから最初は玄武湯と言われていたものが政治的問題で真武湯に改名しましたとさ
#白虎湯もあります #白虎は石膏
#朱雀湯には諸説ありますが #朱雀は大棗
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