anarchism -希死念慮- 《小説》
「anarchism」 -希死念慮-
結局は彼奴も他の男と同じ
愛してるのは私の身体だけ
しかも
他にも女が居たなんて
信じられない
信じるって何ですか
疑う事は罪ですか
玲子の中に希死念慮と言う
感覚が生まれ始めていた
その得体の知れない感情が
のっぺりとした雲の様に
全てを
包み込んでいくのを感じていた
処方された精神薬の過剰摂取と
死ねないリスカ
何をしても何一つ変わらない
変えられない
咥えた
KOOLの灰がテーブルに落ちる
気にする事も無く見つめていた
あの海と一つになれたらって
そう思った後に少し笑った
自虐家のアリーの歌詞が
頭の中を
リフレインしていた
愛してた 嘘でしょ
そう呟いて
髪を軽く巻いて
淡いブルーのワンピースを着た
その上に
レザーのジャケットを羽織り
ブルーのアイシャドウと
星形のピアス
そして
玲子はアルバイトに出かけた
乾いた風が時々に
湿り気を帯びて行く午後だった