【ジンジャースパイス】ショウガ
最も古くから重宝されているスパイスで、今からおよそ3000年もむかしから熱帯アジアで栽培されてきました。古代にはインドや中国で珍重され、どちらかの国から広まったスパイスだと考えられます。スパイスのなかでも最初のもののひとつとされ、フェニキア人によって地中海地方に運ばれて古代ローマやギリシャ、エジプトなどでも広く知られていたようです。紀元1世紀のローマの美食家アピシウスは肉用のソースや干し豆、レンズ豆、また食塩の香り付けなどにジンジャーを使うことを勧めています。9世紀になるとヨーロッパ全土に広まり、乾燥して粉末にしたものが塩やペパー同様に食卓用の調味料として常備されていたほどでした。運搬が容易であったために、13世紀にはアラブ人によって東アフリカへ、16世紀初頭にはポルトガル人によって西アフリカへ、またオランダ人によって西インド諸島へというように東洋から世界に広まっていきました。現在では熱帯地方のほとんどで栽培されています。
また体を暖める効果でも知られ、日本でも風邪をひくと生姜湯を飲ませたりします。17世紀のハーバリストのジョン・パーキンソンも、その著書で「冷えた腹部を暖め、消化不良にもいい」と書いています。英語でジンジャー・アップというと元気が出るという意味をもち、また赤毛の人は髪の毛がカッカと燃えているように見えるため、ジンジャーと呼ばれたりします。
#スパイス図鑑 62ページより