《39》海外支援の事例(NPO法人ACE)~子どもを労働から解放~
業界別SDGs事例紹介。
今回は私が最近、青年会議所の事業で東南アジアに行ってきたということもあり、そこで抱いた印象も含めて海外への支援を行っているNPO法人をご紹介したいと思います。
ご紹介するのはNPO法人ACE。
1997年に当初は学生5人で6カ月限定のNGOとして活動を開始したのが始まりです。
ACEは、「児童労働の撤廃と予防」を掲げてインドやガーナの子どもの教育支援や貧困家庭の自立支援を実施しています。
実は「児童労働」は様々なSDGsのゴールにつながっており、ゴール8の労働問題はもちろん、1の貧困、2の飢餓や農業の生産性、4の教育、5のジェンダー、12の企業の責任、16の平和と公正さ、そして17のパートナーシップに関係が深いと言えます。
例えば、こんなストーリーがあります。
ACEの活動を通して「教育を受ける権利」を学んだ子どもたちがある日、村長の家までデモ行進をして、「教室の増設を!」と訴えたのです。
当時は1つの教室で2学年が勉強するような環境でしたが、それが改善され、数年後には日本政府の支援も活用し、立派な中学校舎が建設されました。
また、ACEは日本をはじめとした各国政府へ働きかけるアドボカシー活動も行い、もっと児童労働について知ってもらうための啓発活動、企業と協働するソーシャルビジネス推進も行っています。
実は、日本でも子どものポルノや買春、JKビジネスなどによる子どもへの経済的・性的搾取などが発生しており、これらは全てSDGsのターゲットにある「最悪の形態の児童労働」に当てはまります。
ACEは、日本の児童労働の予防・撤廃のために中学生、高校生、大人用の3種類の啓発資料を作成し、全国の学校、少年院・少年鑑別所、青少年センター、就労支援センター、フリースクールなどに配布しています。
子どもを雇う人が法律を知り順守し、違法な労働に巻き込まれていないか周りの大人が気付けるように、そして子どもが「働く人を守るルール」を知って自分の身を守れるように活動されています。
ACEはこのような活動を継続して行い、2022年11月時点で、ガーナ、インドの28村で2566人の子どもを児童労働から解放し、約1万3500人が無償かつ質の高い教育を受けることに貢献しています。
そして、活動の過程で数々の賞を受賞し、23年には第6回ジャパンSDGsアワードで内閣総理大臣賞を受賞されました。
私は海外に行き、日本の良さを改めて実感しました。
水道水が飲める、自動販売機は盗まれない、夜に一人で出歩いても危険ではない、食事は清潔、道路は奇麗に整備されている、建物はゆがんでいない、など。
これが当たり前だと思って日々生活していると「自分たちは恵まれている」という事実を思わず忘れそうになります。
日本に生まれて生活できていることに感謝をし、まずは自分ができること
から始めていこうと海外渡航を通して決意を新たにしました。