5月病はあなたが悪いんじゃない
普段、何気なくやっている仕事や家事。あるいは日常生活の行動。いつも右手でつかむものがあれば、左手でつかんでみましょう。あるいは、左手で支えていたら、今度は右手で支えてみましょう。そんな「逆」をやってみることで、普段、いかに「変化しない」状態という安心が、スムーズさを生んでいたか、わかるものです。
1、サラリーマンの定番「5月病」
さて、4月1日より、新しい環境で働き始めたり、進学をしたりする人も多かったはず。これまでの環境と違い、新しい環境で新しいことを始めるのですから、そりゃ大変です。
そんな4月のスタートを決めた後にやってくる、まとまった休みがGW。わずか1ヶ月足らずで、あれやこれやと覚えることや、目に映る新しいことにてんやわんやの後、ふとまとまった休みがやってくる。
そりゃいろいろ考えちゃいますよね。人生いついてかもしれないし、自分自身のことかもしれない。でも、そんな反応って、あなたが「正常な」反応をしているっていう証拠です。
2、適応するってむずかしい
新しい環境で、すぐに適応出来る人。むしろ、何の問題もなくスムーズにできてしまうようだと、逆に怖いです。まあ、旅行において「慣れ」みたいなものが生まれて、言葉も通貨も違う国に行って、はじめは緊張するけれど、なんどもバックパッカーなどをやり続ける中で、知らないうちに「初めての土地でもなんとかなる」っていう慣れはあるかもしれない。
それでも、旅行なんかは「一時的」なもので、帰る場所があるからこそ、冒険ができるというもの。人生における「進路」とは、その先はどうなるか確定していないけれど、少なくとも「その道」と決めて進んだ道。だから、逃げることも、戻ることも考えず、その先を目指すしかない。そういう気持ちでスタートラインにたったと思うんです。
だから、いきなりぶつかる壁や、自分の至らなさ、あるいは人間関係など、いろんな「差」や「すれ違い」が生まれるたびに、どうやって「調整」していけばいいか、脳も心も混乱する。それで、当然だと思うんです。
むしろ、「新しい環境」ということをちゃんとあなたは認識をしていて、そこで「適応」しようと努力するからこそ、小さな差や相手の気持ちも敏感に感じ取ってしまうのではないか、とも思うのです。
前に進むからこそ、壁にぶつかり、立ち向かうからこそ、苦労する。そして、真剣だからこそ悩み、頑張ろうとするから涙が出る。
そう、適応するってのは、簡単に出来るわけがないんです。
3、手洗いはどちらで蛇口を開ける?
普段の行動で、「いつもと同じ」は無意識にできるからこそ、「変わらない日常」、つまり安心感を与えてくれるのです。家に帰って手を洗う時、水道の蛇口はどちらの手で開けていますか?あるいはセンサー式ならどっちの手をかざしますか?
そんな何気ない仕草にも「慣れ」と「無意識」はかならずある。それを逆手でやってみればいいのです。なんともいいようのない、違和感。そして、やってかやらないかわからないような焦りと困惑。いつもと同じであることが、こんなにも「心の安定」につながっていたのか、ということを改めて実感することでしょう。
だから、新しい環境で、スタートし、適応するのがたかが1か月以内にできるなんて、普通じゃないってこと。それも、人生のスタートラインにたって、これから長い道のりを進もうとしている、その一歩目で壁にぶつかったのなら、それはあなたがちゃんと一歩を踏み出したということ。
寂しさや孤独感を感じるかもしれない。真夜中にふと、一人で部屋にいたら、どうにかなってしまう気分が起きるかもしれない。電気を消した部屋に、月明かりが入ってきて、そんな夜の光でさえ、自分の境遇との明暗をわけたように感じるかもしれない。それでも、あなたは、「いま」を生き、適応しようとしたことに偽りは一切ない。
4,「普段」を取り戻すルーチン
どんなときも、どんなツライときも、いつもを取り戻すのは「変化のない日常」です。たかがこれぐらいと思わず、必ずやる「ルーチン」を決めることが、心の安定と安らぎに繋がります。
コップいっぱいの水を飲む
深呼吸を2回する。
玄関にいき、靴を揃える
明日の持ち物をチェックする
こうした一連の、どんなときも、変わらない日常のルーチンこそが、いつもの「安心」と「安定」の状態に、戻してくれるペースメーカーのようなものです。
気分が落ち込むなら、散歩でもいい。家を出て、コンビニまで行って、何も買わずに帰ってくるだけでもいい(あ、地方で、北海道とかだとコンビニまで軽く8kmとかあるから要注意!)
なんでもいいから、仕事にも、家族にも、友人にも邪魔されない、天気にもお財布にも影響しない、ルーチンを決めることです。それが、ずっと、あなたの心のペースメーカーになるはずです。
まもなく、GW。あなたはまだスタートラインにたっただけ。何かを成し遂げたわけでも、何遂げられないと決まったわけでもない。ただ、スタートラインにたったというだけの状態。それでいい。そのままでいい。スタートラインにさえ立てなかった多くの人の希望や夢を背中に受けて、どうにかこのGWを乗り切ってください。
見えない想いという風は、あなたの背中に吹いています。目一杯の力が集まって背中を押しています。そのことを決して忘れないでください。
人生はいつだって、勝ち負けではなく、運不運だけでもなく、喜怒哀楽も片方だけでなく、つねに上がったり下がったり、よかったり悪かったりを波のように繰り返しながら、最後、人生がゼロになるだけなのですから…。