ジェンダーギャップ と雇用の不均等 2022
日本はジェンダーギャップ指数 120位/156ヵ国
男女格差を数値化する国際比較データとして有名なのが、世界経済フォーラムが毎年公表する「ジェンダーギャップ指数」ランキングだ。スイスのダボスに位置するシンクタンク、世界経済フォーラムが発表している指数で「ダボス会議」という呼び名を耳にしたことのあるひとも多いと思う。
「ジェンダーギャップ指数」は数字の「1」に近いほど平等で、「0」に近いほど不平等という見方をする。識字率、賃金格差、国会議員の男女格差などさまざまな観点から算出される。
日本は継続的に低いランクにあり、2021年は総合ランキング156カ国中120位。識字率、初等教育就学率などは他の多くの国と同様に上位だが、国会議員の女性比率(140位)と管理職に女性が占める比率(139位)が際立って低くなっている。経済協力開発機構(OECD)のデータでも、国会議員の女性比率は38カ国中最下位だ。
「『日本』ってどんな国?」(ちくまプリマー新書)の著者、社会学者の本田由紀・東京大学大学院教授は、豊富な国際データから日本の男女格差を考察している。
この本によると、日本の男性の無償労働時間(家庭内労働時間)は、
1日41分。データのある30カ国中最少で、上位のデンマークやオーストラリアなどと比べるとわずか4分の1しかない。
それで私たち日本人は満足しているのだろうか。結果は明らか。日本の家庭生活の全体的な満足度は、日本の男性が27位、日本の女性29位で、これは30か国の中の順位だから、実質ビリケツだ。
国際ジェンダーギャップ 指数だけを国際比較のデータとしないとしても、これではあんまりではないか。
アメリカの男女賃金格差
男女の権利平等を叫び続け、女性の進出がめざましいアメリカは、「ジェンダーギャップ指数」30位。しかしそれでさえ、男女の賃金格差には目を見張るものがある。
この度発表された2022年(想定)の男女間の賃金格差は8.1%から15.3%。女性は男性の8.5 ~9割程度しか支払われていないという調査結果が出ている。
賃金格差が最も小さい職業トップ5
賃金格差は地域や業種によってもちろん違う。最大の賃金格差はワイオミング州で、女性の収入は男性より35%少ない。ワシントンDCは賃金格差が最も小さいが、女性は依然として男性より8%少ない収入しか得ていない。
賃金さの低い業種と高い業種
もっとも賃金格差の小さい職業とその格差(%)は以下の通り
1. 法務・コンプライアンス担当者……7%
2. グラフィックデザイナー…..6%
3. 薬剤師……4%
4. 臨床検査技師・技術者……4%
5. 保険金請求・保険処理係…….2%
反対に賃金格差の大きな職業はというと以下の通りで
男性と比較して女性の収入が少ない%を表している。
証券、商品、金融サービスの販売代理店……44%
法的職業……..40%
医学者……….40%
パーソナルファイナンシャルアドバイザー……..35%
工学技術者・技術者……..34%
ボーイズクラブの多い証券や金融関係で大きな差が出るのは想像つきやすいが、医学者で40%の差が出るのは何故だろうか。(*参考資料)ちなみにアメリカでは看護師も男性が多いのだが、看護師もここに含まれているのだろうか。
統計の方法論について
これらの数字は政府や学術機関からの集計データを使用して、州と職業別の最小および最大の男女の賃金格差を比較したものだ。
さらにこれらの調査の方法論についてもここで触れたい。労働統計局の国勢調査によると、調査に回答した人と、回答しなかった人とは社会的、経済的、住宅的特徴が多いに異なっていた。特に、低所得世帯は調査に参加する可能性がはるかに低かった。つまりこれらの低所得者世帯の数字を入れると、賃金格差はさらに広がる可能性がある。