なぜ「騙されやすい人」になってしまうのか
「心理的危険性」という精神医学で使われる言葉がある。例えばあなたが急に大勢の人の前で話しをしなければいけなくなった時。用意していたスピーチはフッ飛んで、頭の中が真っ白になる。
これは過剰なストレスを受けて心理的安全性が失われ、集中力を失った状態。それは「心理的危険性」が高まった状態だと説明できる。
そしてこのように不安や恐れを感じた時、脳の扁桃体はアクティブに動き出し、感情記憶を積み重ねていく。ちなみに扁桃体はヒトの脳に備わった警戒システムで、身の回りに危険が迫ると活性化し、緊急事態に備えるよう体に指令を出す。さらに感情記憶を蓄積して、いいことも悪いことも記憶として残していく。
過剰なストレス圧がかかり、「心理的危険性」が生じる場面が繰り返されると、それは私たちの脳にとって「苦手なもの」として蓄積されてしまう。例えばパワハラ上司や、ネチネチ上司、大勢の前で話すこと、プレゼンすることなどだ。
そして人に騙されやすい人、詐欺にかかりやすい状況というのも、この「心理的危険性」が関係する。
普段であれば怪しい人からのウマすぎる話しを見抜けるはずの人が、コロっと騙されてしまうのは、会話の初期に受けたショックによって、扁桃体が強く反応し、前頭前野の働きが一時的に鈍ってしまうことにあるらしい。
不安や恐れを感じた時、扁桃体は活発に反応し、心理的危険性が高まると集中力や「気づきの力」を失ってしまう。オレオレ詐欺に騙されるというのがこの顕著な例だ。パートナーの浮気を他の人から告げられた時もそう。
これは上記で述べた例と同じで、大勢の人前でプレゼンするとき「頭が真っ白」になってしまうことと、脳の構造上は同じメカニズムとなる。
ストレスに押しひしがれたり、切羽詰まった窮地に立つと、人は「気づき」の力が一気に下がって、「思いがけない行動」を取ってしまう。
そのことを知識として知っておくだけでも、イザという時「気づき」の力を発揮できるかもしれない。
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