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社会格差はなくすべきか。農地改革の功罪から考えてみる
社会格差をなくすにはどうしたらいいかと最近よく論じられている。しかしながら、世界レベルで見ると、日本の社会格差は横ばい気味で、アメリカやのように広がってはいない。
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社会格差はどのように作られてきたのか
そもそも社会格差はどのように作られてきたのか。大きな産業や新しい富が作られた場合、それによって大儲けする一部の人たちが生まれることによって、作られるというのがもっとも一般的だ。
しかしながら日本ではこの10〜20年、新しい産業は作られていない。それによって格差を生み出すようなもの、分配できるものがないに等しく格差が生まれにくくなっている。
そうであれば、格差をなくすよりもむしろ大きな富を築く層を作り出すことによって、その富を分配させることができる、という考え方がある。
農地改革の功罪
昭和の農地改革は、終戦直後の昭和の時代に、連合国総司令部GHQの指令により行われた。
農地改革とは、政府が地主から農地を安い価格で強制的に買いあげた後に、地主から借りて耕作していた小作人に安く売り渡す制度のことで、土地を持たなかった小作人に、土地を持たせる自作農家の創設が最大の目的だった。
小作人が極めて安い価格で農地を手に入れることができて、自作農家が大巾に増えたことは、農村社会的には大きな成果を上げた。
しかしながら経済的、経営的な見地からみれば、大規模農家の細分化にすぎず、農業経営は著しく非効率的なものになったという。その後、政府も農家も細分化された農業経営にこだわり続けたために、日本の米作農家は国際的競争力を失うことになったとまで言われている。
これと同じことはエジプトでも起きた。イギリスの占領下にあったエジプトがイギリスを追い出した後の大統領ガマール・アブドゥル=ナーセル(アラビア語: جمال عبد الناصر)同じようなことを試みている(ちなみにナーセル大統領の亡き後、国家を牛耳ったのがサダト大統領だ)。
その結果、富は一部の軍人に搾取され、細分化され、国力が落ちた。
現在の日本のGDPの移り変わり
バブル崩壊後の日本のGDPは横這いで、中国やアメリカと比べるとその差は歴然としている。
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このような今の日本で、格差は本当になくすべきなのだろうか。
それよりも問題はむしろ、日本が国の経済力をあげることではないだのだろうか。
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