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映画「HOMESTAY」を観て

世にも珍しく、このページに辿り着きこの記事をお読みくださっている皆様はゴールデンウィークの最終日は何をして過ごされているだろうか。

私はなかなかエキサイティングな日々を過ごしているが、それはいずれ時効になったらお話しすることにしよう。
さて、そんな私、高校生までは積極的に読書をしていた。とは言え、読書ガチ勢の方が読むような純文学などではない。カジュアル読書家とでも言おうか。一応記しておく。

私が小学五年生の時に手に取った本が、森絵都著、『カラフル』である。
彼女の代表作であることは間違いないし、あらすじは世の中に溢れているので、是非一度目を通してほしい。いや、できれば一度手に取って読んでみてほしい。
一応、下記にリンクを貼っておくので参照してみてほしい。


カラフルを読んだ時、すごく印象に残った。巧みな構成、丁寧な文章、“自殺“をしてしまうような少年の心の機微をうまく伝える語彙。
読後、すぐに同氏のもう一つの代表作『DIVE!』を読んだ記憶がある。

小学生の頃の私は、今思えば非常に穏やかな日々の過ごしていた。とはいえ、悩みはある。例えば、親、祖母、親戚から妹や弟の容姿は褒められるのに私は誉められない。大人から「かわいい」と言われる機会が少なく、常にきょうだいと比較され、そして負けてきた、そんな記憶がある。
そんな私と、もがき苦しみ、そして最終的に“自害“を選択してしまう主人公の真の心は近からず、遠からずだった。
幼少の私は、かわいいと大人から注目されないそんな痛みを真の揺れ動く心に重ねていたのだろう。すっかり好きな本の一つになってしまった。

そして、今年冬に登場したAmazon prime original 第一弾、『HOMESTAY』。主演はなにわ男子の長尾謙杜くん。
正直、なにわ男子の演技担当といえば、朝ドラに複数回出演している西畑くんや、道枝くんのイメージあった。
大変失礼ながら、印象に大きく残っている私にとって大事な作品の実写、長尾くんで良いのか?と思いながら見始めた。

見始めて、私の失礼な疑念は吹き飛んだ。非常に自然で、むしろ真にピッタリである。真の周りを取り巻く家族や友人、憧れの先輩なども非常に自然だった。
原作とは少し変わっているところもあるが、物語の核となる部分は変わっていない。原作ファンも、安心して見れる。

原作を読んだ当時小学5年生だった私と、社会に揉まれ、休職中の私では感じるものが当たり前に違った。でも、その核は共通していると、この映画が教えてくれた。

以下、ネタバレであるため了承の上読み進めて欲しい。下記に当映画のURLを添付するので先に映画を見たい方はどうぞ。もしよければ戻ってきてほしい。




この映画を見た率直な感想は、どうして私の気持ちがわかるんだろう。だ。
私は、会社でのストレスに悩み、鬱になっていた。
コンビニでご飯は決められないし(昼休みが1時間だとしたら30分以上はかかってしまっていた)、買ったご飯の味はせず米粒の粒感だけが舌に感じて涙していたし、自殺だってしようとした。それも何度も。

真が自殺をする際、「矛盾しているけど、死んで僕のことに気づいてほしい」と願うのだ。
私も同じだった。私が死んで私に気づいて欲しかった。私の抱えている“つらさ“の大きさに気づいて欲しかったのだ。

誰に?いや、そんなことどうでもよかった。誰でもいい、誰かに知って欲しかった。誰かに私のつらさを感じてもらえればよかったのだ。
誰にも見てもらえていないと思っていたし、世の中に私の存在に気づいている 人間なんていないと思っていた。本気で。


でも、冷静になってみたら、当時母に辛いと電話していたし、友人たちも、ものすごく心配してくれていた。高校の時、少ししか関わりのなかった子から心配のDMがきたほどだ。また、毎週土曜にオンライン飲み会をする友人もいた。

そう、実はたくさんの人に見守られながら生きていたし、今も生きている。
私にだけ「かわいい」と言わなかった両親、祖母らだって英会話教室に通わせてくれたり、何度もホームステイや留学に出してくれたし、そのお金も出してくれている。(物的証拠しか例示できないことに少しショックを受けつつも)愛してくれていたのだ。

このHOMESTAYも根幹には「愛」があるように感じた。言葉にしていない「愛」。登場人物全員不器用。でも、愛はある。
真の“自殺騒動“と、“変わった“真のおかげで少しづつみんなが持っている愛を言語化して行く。

これは各個人の自発的なものではなくあくまでも真に“誘発“されたものである。

結局、自分以外の心のうちを知りたいのなら、自ら行動するしかない。
そして、私自身はきちんと言語化して大切にしたい関係を大切に大切に味わう。まるで儚くなくなってしまう飴玉のように。

ところで、ホームステイは受け入れ家族との関係次第で楽しくも、辛くもできる。相手に依存するところも大きいが、さまざま違う価値観をお互いにコミュニケーションを取った上で受け入れていくしかない。
どちらにせよ、期間限定の関係なのだ。できるなら、努力して良好な関係にしたい、と思う。

そう、人生は所詮、ただのホームステイなのだ。
私の「ホームステイ」はまだまだ続く。日々を、人を、愛していこう。


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