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原発事故への対応

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#風評被害

福島発の「復興論」と、「復興」からの当事者排除の構造③-考察と結論-

福島発の「復興論」と、「復興」からの当事者排除の構造③-考察と結論-

これまでの記事では、福島県を代表する「復興」論と、浜通りを代表する「復興」論、そして避難元自治体である富岡町からの避難者による「復興」論を取り上げ、比較しました。今回は最後に、考察と結論について述べたいと思います。

1)考察 福島県内の論者であっても、彼らが「福島の復興」や「浜通りの復興」を唱えるとき、それは「日本の復興」や「東北の復興」を目指す政府の方針と密接に関係しているというのは、これまで

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福島発の「復興論」と、「復興」からの当事者排除の構造②-福島県内の論者3者それぞれの主張-

福島発の「復興論」と、「復興」からの当事者排除の構造②-福島県内の論者3者それぞれの主張-

前回の記事では、福島県の論者の3者それぞれが代表する立場とは何か、そして当事者性についての背景や問題状況の整理を行いました。今回の記事では、それぞれの主張について、詳しくまとめています。前回の記事を踏まえて、ご覧ください。

1)「富岡町」(避難元自治体)としての復興論ー市村高志『人間なき復興』
 福島県双葉郡富岡町からの強制避難者である市村は、2013年に発表した山下との共著『人間なき復興』にお

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福島発の「復興論」と、「復興」からの当事者排除の構造①-当事者性についての序論-

福島発の「復興論」と、「復興」からの当事者排除の構造①-当事者性についての序論-

キーワード:原発事故、当事者、復興言説、政策との共犯性

1)復興についての 3 つの視点 本稿では、東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、原発事故)における、特に原発事故からの復興について、福島県内の論者から「復興」がどのように語られてきたのかを整理します。

 ここで取り上げるのは、町内全域が避難指示区域となった福島県富岡町からの避難者である市村高志氏による、社会学者の山下祐介

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