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私がいちばん好きな哲学者バシュラールという特異な科学論者のこと(現代フランス哲学なんて今更語るのは恥ずかしい事とは承知で)
「いちばん勉強した哲学者」でもなく「いちばん尊敬している哲学者」でもなく、
「キャラとしていちばん好きな哲学者」というのならフランスのガストン・バシュラールです。あるいは、少しでもこの人のスタイルに近い「生き方」ができないかと夢見続けてきたのが私かもしれない。
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ところがこの方、たぶん、日本ではかなりマイナーな哲学者扱いのように思えます。ので、できるだけ「私がシビれる」面をピックアップして紹介すると、
・哲学は哲学でも、「科学哲学」と呼ばれる領域で活躍した人である
・相対性理論の登場や量子力学の登場にも素早くレスポンスした本を発表した、「現代科学にバリバリ強い」哲学者である
・特に「科学の歴史」研究をベースに、人類の「知識の進歩」についての特異な見方を提出した人である
・しかもこの人が「科学の歴史」を語る時、アインシュタインやらガリレオといった天才の伝記だけでなく、過去の「偽科学」や「疑似科学」、現代ではもはやオカルト扱いされているところの「錬金術」までをも、「今から見ると失敗だが、当時は重要な科学の一分野だった」とみなし、「科学史」研究の射程に入れてしまう!
・それゆえこの人の「哲学書」には、アインシュタインやガリレオと同時に、突拍子もないトンデモ科学者やイカれた錬金術師の伝記も、「偉大なる失敗事例」としてボンボン紹介される。読んでて面白くてしょうがないw
・実は若い頃からの大学人というわけではなく、郵便局で働きながら長年科学を勉強し、中年になってから遅咲きで大学教授になったという苦学者である、、、ってなんだそんな漫画みたいなキャリア?バケモノか!!
・遅咲きのキャリアのせいか、著書に差し込まれる肖像写真は老年になってからのものが多い
・それゆえ日本では(私の中でも)ガンダルフだかサルマン的な「おじいちゃんキャラ」の印象がついちゃってる、、、ていうか私も、たまに若い頃の写真を見せられても、「いやいや、バシュラールっていったらこういう顔の好々爺キャラだろ!?」と反応してしまう、、、
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だが何といっても、私のように、「理科が好きだけど、スピリチュアルぽい話も同時に好き」という困った趣味の持ち主にとって、
「科学のことを知るためには、偽科学や擬似科学の歴史にも詳しくならなきゃいかん」というこの人の立場は共感できる!、、、ていうかバシュラール先生、ネタとしては大学でガチ哲学講義を受け持ってる時より「偽科学・疑似科学」についての本を書いてる時の方が、本人も楽しがってないすかw?そういう話題を扱っている時の文体がすんごく生き生きしてるんだがw
ただし、このバシュラール先生、決してキワモノな哲学者などではなく、
この「歴史上の文献を徹底的に調査する、、、それも過去の立派な偉人の著作よりも、現代から見るとオカルトぽいものや偽文書ぽいものにこそ、過去の各時代の『無意識的な精神』が現れている筈と、注目する!」手法は、次の世代のミシェル・フーコーがさらに拡大して使った「研究手法」だったりします。
そして、バシュラールとフーコーには、私にとってもうひとつ、大事な共通点が。
バシュラールには『空と夢』、フーコーには『ビンスワンガー夢と実存に寄せる序文』と、それぞれ人間の「夢」をテーマに扱った文章があることだ。
バシュラールとかフーコーとか、「現代フランス思想」などというものは、日本ではいまやすっかり「昔の流行、いまさら語る奴はダサい」扱いだけど、
私が「夢」というマイナーなテーマについてすら、勉強をしていると、「ええ!あのフーコーがビンスワンガーの夢分析に序文を書いてたの!?」などと、結局、フランスの哲学者の名前が出てきたり、、、やはり彼らの守備範囲の広さは驚異的ですw。
というわけで、、、私の好きな哲学者バシュラールの紹介と、そろそろフーコーの話もnoteに出したいな、と言う予告の回でした。なお、バシュラールに興味が湧いた方には、金森修先生の書いた伝記がわかりやすくて面白くてオススメです(Amazonアフィリエイトリンクとなります旨ご了承ください)↓
ご本人のガッツリした哲学的著作にいきなりチャレンジしたい方は、ぜひ『科学的精神の形成』を!