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私が若い頃には「ドラッカー?そんなの読んでないでマルクスとかサルトルとかを読みなさい」みたいな空気があったものだが…
※本記事内の参考文献URLおよび参考DVDのURLにはAmazonアフィリエイトリンクを貼らせて頂いております旨、あらかじめご了承ください
山道を歩きながら…ってわけでもないが、ふと考えた。
これから人類がどうなるかは、混沌としていて、わからないが、
少なくともこの百年間くらいをかけて、世界では相当に、真の意味での最貧国や飢餓国は減ってきており、つまり、人類全体レベルでの生活水準の向上は着実に進んでいる
その内訳はベストセラーにもなったこちらの本で徹底的に説明されている通り↓
でも、この百年間くらいにおいて、このような世界を主導したのは、ナポレオンやシーザーのような「英雄」でもなければ、
結果としてみたら、マルクス主義革命家でも、宗教家でも、どこかの国の独裁者でもなく、
日々の仕事に打ち込み、自分に課されたタスクを誠実にきちんとこなし、微細なレベルからであってもイノベーションや新技術導入や「業務の工夫」を繰り返してきた、世界中の、名もなき、いわゆるビジネスパーソンたち。そして、彼らを束ねる、大中小企業の経営者たち。
、、、となると、20世紀の思想家とか哲学者で、もっとも強力なことを言ってたのは、ドラッカーのような、「いかにもサラリーマンが新幹線の中で一生懸命読んでそう」なレベルの思想家だという見方もできるのでは!?
私がこんなことを言うのも、今はどうか知らないが、私が若い頃はドラッカーなんて読んでたら「おいおい!君!そんなサラリーマンのための処世訓なんて読んでたらバカになるぞ!ちゃんとマルクスとかサルトルとかを読みなさい」とめちゃくちゃバカ扱いされたものである。
その上に「もしドラ」なんてものが流行したりして、ドラッカーには変なイメージがついちゃったけど、
ところがどっこい、私がnoteでもよく引用する以下の本にあるように、
ドラッカーのそもそものスタート地点は、1930年代の時点で「ファシズムも共産主義もどちらもダメだ」と強く訴えていた人であり、フランス革命を今日の全体主義の根源として批判し、キリスト教やら政治理論がどうこうではなく「組織で働く」ことを洗練したことが近代西欧社会の強さの原因と見抜き、ついでに、ありがたいことに、その意味で戦後日本の経済成長についてもめちゃくちゃ好意的に受け止めてくれた人である。ベースには世界史を俯瞰した上での政治スタンスが明白にがちっと構築されているのです。
そのあまりにも「まっとう」なことばかりを言うスタンスゆえに右からも左からも「浅はか」とバカにされて大卒のサラリーマンがあわてて新幹線の中で読むものみたいなことになったが、振り返れば、20世紀後半の世界をいちばんよく説明し、いちばんよきリーダーたりえていたのは、実は「エリート層の哲学思想家」からはバカにされてたこの人だった、という見方もできなくもないのでは、とかとか?
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私が今になってこんなことを言うのは、ほんとに、つい20年前は、「ドラッカーなんて読んでちゃダメだ!世界を変えるための真の思想家は他にいる!それについて知りたい人は(今なら「この動画をクリック」となるところだがw)、偉い大学教授が書いた哲学解説書を本屋で買ってね!」という空気まんまんだったことへの違和を込めてですが、そこを強調しすぎると私が私自身のルサンチマンにとらわれてしまう危険があるので気をつけなくちゃ、、、。
それに、ドラッカーについて、よいことは、もうひとつある。英語の原文を買ってきても、文章がとても読みやすいことだ!特に以下は、ドラッカーの考え方が特徴的にまとまっている上に、ビジネス英単語がめいっばいつまっているので、英語リーディングの練習をしたい方にはあまりもオススメです。そしてもう一度繰り返すけど、この「文章の読みやすさ+ビジネスマン向けの用語だらけ」で書かれた本というだけで、こってんこてんにバカにされていた過去があった。そのときバカにしていた人たちが、はたして、マルクスをドイツ語で、サルトルをフランス語で読んでいたのかどうかは、私は知らない。