角川つばさ文庫『本当はこわい話』という子供向けの本が私にとってインスピレーションの宝庫であるその理由
長年、ホラー小説好き・オバケ話好きを標榜してきた私が、
こんな単純なところに「もとめていたもの」を見つけてしまうとは!
それは子供と一緒に図書館に行った時のこと。
児童向け「角川つばさ文庫」が出している以下の本を手に取ったのですが、
え!なにこれ!おもしろい!!!
天啓のように何かが下りました。
これです!私がホラーに求めていたのは、つまりこれ。
そうかー。私がホラーが好きなのは、オドカシ系が好きなのでも気持ち悪さが好きなのでもなく、
「頭を使うとゾゾッとくる感覚」が好きだった。つまりクレバーなホラーが好きだったのですね。
と気付かされ。
こちらの『本当はこわい話』シリーズは、ネットで流行した「意味がわかるとこわい話」の子供向けバージョンですね。
たとえば、第一巻のamazonでの紹介コピーを引用すると、
黒いイヌを見つけると男は赤い車に戻った。
銀色の上着を脱ぐと、青いワンピースの少女が男に聞いた。
「シロは見つかった?」――こわーい!!!!
…え? どこがこわいかわからない? よーく考えてみて。この3行にはとんでもない真実がかくれているわ。
一見なんでもないお話のようだけど、意味がわかるとゾッとしちゃう!
ここは、そんな『本当はこわい話』が集まる図書館。
君にはお話にかくされた真実がわかるかな?
こんな感じ。
論理パズルの本みたいに、
「え? どこが? 何がこわいの?」
と読んだ子供にしっかり考えさせて、
「あー。なるほどね!うわ、怖い!」
と、わかった子供にだけ、ゾクゾクさせる趣向。
「答え合わせ」は、表紙にも登場しているナゾの少女「真実(まみ)」が各エピソードの終了後に行ってくれるので、
クイズ本のように「わからなければ、答えをみちゃう」という読み進め方ができます。
で、この「真実」という少女がとんでもないクセモノ(たぶん人外のナニモノかだな、、、w)であることが最終章でわかります。彼女の解説の中に、読者に対する叙述トリックが既に入っていたわけで、、、。
私が絶賛するホラー小説、ジェイコブズの『猿の手』なども、読んだあとに「もし主人公があの場面でこう行動していたら、いったいどうなっちゃっていたんだろう、、、?」とゾゾゾッとさせる趣向なわけですから、
私が評価するホラーの原型は、このような「意味が分かるとこわいショートショート」の類に集約されているのではないか、と思いました。
・・・という私個人のウンチクはともかくとしても、こわいものズキな子供にはぜひこんな本を読んで活字脳を鍛えてほしいと思ったところです。
ホラー好きにとっては、「このエピソードはたぶん有名なあのホラー小説を参考にしたかな?」とモトネタに気づいちゃうものも多々ありですが、一種の謎解き本として、それもよいのではないでしょうか?
収録されている話はぶっちゃけ玉石混交で、たまに「なんじゃそりゃ?w」という変な話も入っているのですが、それもまた、ご愛嬌!
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