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【読書録】『共犯者』松本清張
今日は、久しぶりに、私の大好きな松本清張先生の短編集をご紹介してみる。
新潮文庫の『共犯者』。表題作を含む、珠玉の短編集。あっと驚く結末に導かれる話や、登場人物の、思うようにいかない人生のもどかしさが痛いほど伝わってくる話が多かった。
『共犯者』
商売に成功した彦介の商売の元手となった資金は、昔の犯罪によるものだった。当時の共犯者町田が、口を割らないかが心配になった彼は、業界新聞からの依頼と偽り、通信記者を雇って町田を見張らせる。
『恐喝者』
大雨による川の氾濫に乗じて拘置所から脱走した凌太が、脱走途中に偶然助けた主婦の多恵子と、勤め先の工事現場で偶然再会する。そして恐喝が始まる。
『愛と空白の共謀』
未亡人の章子が、死んだ夫の同僚であり、不倫相手である福井秀治との旅行中、体調不良となり、予定を変更して汽車ではなく飛行機で帰宅することになった。搭乗手続のやり取りと、機内で見かけた婦人客を思い出したことにより、章子の心情に変化が。
『発作』
うだつの上がらないサラリーマン田杉は、会社でのミス、病気で療養中の妻への仕送り、競輪で作った借金に苦しみ、愛人の黒木ふじ子の心が自分から離れていくのに気づき、イライラしていた。そんなときに乗った電車で……。
『青春の彷徨』
結婚を許してもらえない若い男女が、東京から九州に心中旅行に出かける。そこで、自殺者や心中者の話を聞いたり、完璧な身なりの美しい男女を見かけたりする。
『点』
郷里に一時滞在中の脚本家の伊村は、笠岡という、共産党員を装ってスパイ活動をしていた元警察官だという男からの手紙を、使いの女の子から受け取った。
『潜在光景』
帰宅途中のバスで幼なじみの泰子と偶然出会った主人公は、妻がいるにもかかわらず、彼女と恋愛関係になる。未亡人である泰子には、6歳の健一という男の子がいた。
『剥製』
雑誌の編集者である芦田が、鳥の鳴き声を真似で鳥を集める名人だという塚原太一と、美術評論家のRさんと、それぞれ仕事をした時の話。
『典雅な姉弟』
タイトルどおり、上流階級の美形の姉弟が暮らす家で殺人事件が起き、トリックが解明される。推理もの。
『距離の女囚』
女性受刑者が、かつての夫に宛てた手紙の形式で、父、家業、戦争、男性などの影響を受けて流転した彼女の人生を綴る。
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どの話も、完成度が高く、あっという間にストーリーに引き込まれ、強い読後感が後を引く。まさに、清張ワールド。
私の好きな短編集のひとつです。ご参考になれば幸いです!
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