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【毎日note128日目】『向田理髪店』感想
こんばんは。さゆです。
さて、本日も私のアメブロで書いた本の感想をそのまま貼り付ける「コピペ」を行いたいと思います…。
す、すみません…。
本の感想は比較的頑張って書いているので(これでも頑張っているのです…ごめんなさい…<消える>)noteでもアピールしていることをお許しください。
今回は、私も高知県の田舎で暮らし始めて1年目。
物語の町の状況は決して他人事ではないな…と思いながら読んだ、北海道の過疎地で暮らす人々の物語・奥田英郎さんの『向田理髪店』(光文社)という小説を読みました。
本作は、北海道の中央部、苫沢町という場所で、戦後間もない昭和25年から続く昔ながらの床屋で理容師をする53歳の店主・康彦の目線で綴られています。
苫沢町は、過疎化が進む元炭鉱町。
かつては町に10軒以上あった理髪店も今は2軒となり、客は大半が町の高齢者となったお店で、今も康彦は、夫婦で細々と営業を続けていました。
康彦は、若い頃、札幌で広告会社に就職したものの、28歳の頃、父親の病気で帰郷を決意。
今も都会への憧れは消えず、自分の人生にも、「もっとやれたのではないか」という思いは燻っていました。
また、人より牛の数が多い過疎の町に、将来性が感じられないため、都会へ行った息子たちに跡を継がせる気は全くなかったのです。
しかし、そんなある日、札幌で働く息子が「地元を何とかしたい」「会社を辞めて店を継ぐ」と言い出し始め、本当に帰ってきてしまいます。
人口が少なくなっていく町で、理髪店に将来があるとは思えない…。また、息子にはもう少し大志を抱いてほしいのが本音の康彦は、複雑な気持ちで息子を見守るのですが――!?
★★★★★
本作は、北海道の僻地で暮らす人々の生活や本音が、とてもリアルに、丁寧に綴られています。
人口流出が止まらず、都会から期間限定で赴任してきた町役場の人々が、町に残る人たちと共に色々な町おこしのイベントを仕掛けてきたものの、全て実らなかった大きな絶望感。
使用されない図書館や音楽ホール。
夏祭りで取り戻す一時の活気…。
田舎で理容師という仕事柄もあり、ほぼ全員が顔見知りの康彦は、決して無駄なことや噂を言わず、情を大切に、淡々と仕事をこなしていきます。
町には事件が中々起こらないので、小さなスナックができてアラフィフ男性たちが美人ママの奪い合いを繰り広げ、奥さんたちが呆れたり。
嫁が見つからず肩身の狭かった40歳の農家の男性が中国から花嫁を連れてきて「お祝いの会」をしないと…! と、町全体が盛り上がったり。
小さな町だからこそ、逃れられない昔からのしきたりや人付き合いが大変そうだなと感じることもあったのですが、逆に過疎化の進む場所だからこそ、人と人とが本当に大変な時に支え合い、困難を温かい絆で乗り越えていく瞬間が何度も描かれており、心が温かくなりました。
炭鉱がなくなった今、何を好き好んでこんな僻地にみんなで暮らしているのか。ときどき自分でもわからなくなる。
…康彦はそんな風に絶望しますが、「理髪店を建て増しして同じ空間にカフェを作る!」と暴走を始める彼の息子がですね、この物語では本当に良い味出してくれてですね…!
町を何とか盛り上げようと皆を巻き込み、明るく奮闘する様子や、町の出身者から犯罪者が出た時に思わぬ活躍を見せる彼の姿から、「この町はきっと大丈夫だ」と感じられる希望がありました。
浮気が火遊びですまなかったり、独身者は肩身が狭かったり、人の噂が瞬く間に拡散されたり…。
都会で起こる事件は田舎でもバンバン起こるし、その割には決してスルーされない…嫌われては生きていけない…という大変さが田舎ではあるものの、皆で協力して励まし合って生きて行こうとするこの町の人々の絆はうらやましかったです。
奥田英郎さんの作品は、地に足をつけてしっかり生きる人々の細やかな感情が丁寧に描かれていて、本当に素敵だなあと思います。
特に『空中ブランコ』と『家日和』は大好きです。
『向田理髪店』、続編も出ないかな。読みたいです♪
では本日はこのへんで。
明日は普通に私の何でもなさすぎるつぶやきを更新します(笑)。
皆様今日も一日、お疲れ様でした。
さゆ