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自分自身が疲弊しないこと

先日、顧問先の会社にて幹部研修を行って
とても感じたことがあった。

半年ほど前に
幹部たちに「面談の必要性」を伝え
トレーニングしカウンセリング能力を
身につけてもらうことで
部下の面談をスタートした。

面談の目的は「離職率の低下」

定期的な社員との面談をすることで
事前に本人の状態を把握し
悩んだり迷ったり苦しむ前に
本人の問題や課題を幹部が聴き
問題を未然に防ぐことが目的だった。

面談をはじめて数か月。

結果は、大きな「成果」として現れた。

コロナの影響もあり
社員は、不安やストレスを抱えていることも
理解してあげることができたし
面談のレベルも上がってきている。


でも・・・

幹部は、面談にて社員の話を聴くことで、
知らなかった社員の悩みを知ることで、

もっと、改善できることはないのか?
もっと、自己成長しなければ・・・
もっと、良くなるためにはどうしたらいいのか?

知れば知るほど
自分の力のなさに直面し
自分に矢印を向け始めた幹部たち。

今まで見えていなかったものが見えて
聞こえてこなかったことを聴き
一人ひとりに愛情をかければかけるほど
実は、心配になり・・・。

とても良いことなのに
インプットばかりしている幹部たちは
アウトプットの場がないので
心がパンパンになっていた。

頭の中に隙間がなくなったような
感覚になり、いつも、
「もっと、もっと・・・」と
思うようになり始めていた。

これを、成長というのかもしれない。
これを、もう一段上がること
というのかもしれない。

でも、私は、とても反省した。

目線を「社員」に向けすぎて
幹部たちの苦しさに
数か月、気づかないまま
面談の必要性を伝え続け
面談を頑張らせてしまった。

幹部たちは、話を聴きすぎて
自分の心の中に溜まったものを
出すことができなくなり始めていた。

幹部たちはカウンセラーではないので
自己コントロールの術をプロとして
学んでいるわけではない。

人の話を聴き続ければ、溜まる。
心の中に膿が溜まる。

その膿を出す場所を作ってあげていなければ
社員が吐いたマイナスのものを
幹部たちは、そのまま心の中に
溜めていくようになってしまう。

強靭な精神力だけで
進めていくのは限界があるのに
幹部たちは、さらなる高みを目指し
疲弊し始めていた。

研修中に、そのことを痛いほど感じたので
幹部同士で自分のストレスを
話す時間を設けた。

お互いに話を聴いてもらう
「相談者」の体験をしてもらった。
いつも自分が傾聴しているのに
ペアの相手にトコトン話しを聴いてもらう。

見る見るうちに笑顔が戻った。

そして、幹部たちがお互いに「話をする」
アウトプットする時間の必要性を感じてくれた。



話を聴くことは
本当はとてもエネルギーがいる。
ただ、聴いているわけではない。

心も動くし脳もフル回転する。

話している人のマイナスを
受け止めれば心は疲れる。

疲れた心をどうやってコントロールするか?

このことを伝えていく必要があると
強く、強く想った。

私が、信頼し「幹部ならできる!」と
面談を勧めたことで

幹部は、私の期待に応えようとしてくれていた。

頑張らせてしまったんだ。

社員のストレスは軽減された
離職も出ていない。

でも、幹部がその犠牲になっていては
問題がすり替わっただけだ。

カウンセラーをカウンセリングすることを
スーパーバイズという。

幹部たちのカウンセラーとして
スーパーバイズの必要性があると思っている。

知らず知らずのうちに私は
カウンセラーを育てるように
幹部たちをカウンセラーに仕立て上げていた。

それなのに、
自分を守る術(すべ)
教えていなかったなんて…私の力不足に尽きる。

幹部のみんなに思う。
「疲れたな・・・」って思ったら
もっと、頼って欲しい。

誰にも助けを求めないで
自分で頑張ろうって思うと
一番大切な「自分」を守れなくなる。

頑張ってもいいから
無理をしないで欲しい。

頼ることができる人が
頼られる人になると思う。

歯を食いしばって頑張ることが
美徳じゃない。

力を抜いて心に余裕をもって
笑顔でいて欲しい。

トップが幸せでいないと
部下を幸せにすることはできない。

頑張ってしまい過ぎる人達へ
この想いを届けられるよう
私自身も在り方を見つめ直そうと思う。

本当に教えられることばかりだ。

幹部の皆さんの苦しみが痛いほど
わかったので、次は力の抜き方を
お伝えできるよう準備します。

目に見える「結果」や「成果」だけで
判断してはダメだと思った。

やはり、こたえは現場にある。
きちんと丁寧に向き合って
一人ひとりの声を聴かなくてはダメだと
痛感した研修だった。

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