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変わりゆく町
ガタガタガタガタ微妙に家が揺れている。
最初は地震かな?と思ったが、
同時にモーター音がするので、
あー、あの解体現場の振動かと理解した。
ずいぶん前に始まった近所の銭湯の解体工事がいよいよ佳境を迎え、基礎部分の解体で地響きが伝わってくる。
①近所の銭湯
子供の頃から住んでいるこの町には、徒歩10分圏内に4軒の銭湯があった。
昔は内風呂の無い家も多かったので、その4軒の銭湯はどこも繁盛していた。
定休日がそれぞれ違うので、
町の人たちがその日の入浴に困ることがなかったのは、風呂屋同士で申し合わせができていたのだろう。
私の家にはお風呂があったので、普段は内風呂を使っていて、
たまにお風呂屋さんに行くのはレクリエーション的な楽しみだった。
友達とお泊まり会をした時も、みんなで銭湯に行くチャンス。
それぞれ持ってるシャンプーやリンスを混ぜっこして使うと、なぜか次の日は頭が爆発していたり。
風呂上がりのコーヒー牛乳は最高に美味しかった。
②最後の一軒の店仕舞い
銭湯の入湯料がだんだんと値上がりし、リフォームで内風呂を作る家が増え、徐々に銭湯に通う家庭が減って行った。
いつの間にやら1軒、また1軒と銭湯が潰れ、うちから1番近い銭湯が最後の1軒になってしまった。
その銭湯もとうとう暖簾を下ろすことになった。
「ボイラー故障の為、しばらくの間休みます。」という張り紙が、
「55年間の長きのご愛顧ありがとうございました。」という閉店挨拶の張り紙に変わってしまった。
そしてそれから程なく解体工事が始まった。
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③身近な昔馴染みが次々と消えていく
この町から消えていくのは銭湯だけではない。
去年の土用丑に鰻重を注文した寿司屋に、今年の土用丑にも注文しに行った。
その際、8月のお盆前に閉店することを告げられた。
そして私と子供達の母校である小学校が、3年後に閉校することが決まった。
隣町の小学校に吸収されることになったのだ。
ここは災害時の避難場所でもあるので、ここが無くなるとどうなるのか不安だ。
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④この国はどこへ向かっているのだろう
大型ショッピングモールは次々とできるが、身近な馴染みの店や母校が消えていく。
こうした現象は何も私の住む町のことだけではないのだろう。
日本の地方都市のありとあらゆるところで、こうした現象がじわじわと広がっている。
次に新しい何かが生まれる場合はまだいいが、そのまま廃れて荒れ果てていく、そうしたパターンの方が多いかもしれない。
大きな転換期を迎えているこの国。
解体現場のタイルの文字がなんだか虚しい。
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