『金剛山』今昔物語
大阪府と奈良県の府県境にまたがる『金剛山』。
大阪府の最高地点1056mを有し、標高は1125mの大阪で1番高い山として知られている。
万葉集にも詠われた二上山や葛城山が連なる金剛山地の主峰。
そんな金剛山は、暑い夏には涼を、寒い冬には冬山の厳しさを、
1年を通していろいろな顔を見せてくれる。
①金剛山は大阪の子供達の学び舎だった
私達が小学校の頃、夏と冬にはそれぞれ校外での学び舎が設けられていた。
夏は4年生が吉野山でキャンプ、5年生が高野山で宿坊体験、6年生はお伊勢詣り。
冬は耐寒登山で、4年生が二上山の雌岳、5年生が二上山の雄岳、6年生は金剛山に登る。
金剛山の耐寒登山は特に厳しかったことを覚えている。
大阪の山とは言え、奈良県との県境にそびえる山。かなり積雪がありアイゼンを装着して登った。
山頂ではソリ遊びができるので、
普段大阪の平地ではできない雪遊びを体験できる貴重な機会だった。
下山途中ひどい吹雪に襲われた。
谷底から雪が舞い上がり、目の前が真っ白で何も見えない。
私達はなんとか下山して集合場所の登山口駅に辿り着いたが、10名ほどが降りて来ない。
何名かの先生が顔色を変えて捜索に山へ戻っていった。
次の日に登校して、その10名の無事を知った。途中道に迷い、間違えて奈良側に降りてしまったらしい。麓で出会った人に助けを求め、学校に連絡してもらって事なきを得た。
「小学生課外授業の冬山登山で遭難」と、今ならニュースになるところだった。
②千早赤阪村が密かな観光スポットに
最近はまたもや登山ブームが来ているが、
一時は危険な耐寒登山を課外授業で行う学校も無くなり、
登山自体も下火になった時期もあった。
一方、金剛山の中腹にある大阪で唯一の村、千早赤阪村には幾つかの観光スポットが誕生した。
きれいな清流を利用した釣り園地や、清らかな水から生まれる地元の豆腐、林業を生かした木工家具工房などが小さな千早赤阪村の中に誕生した。
今もこの小さな村に移住して、カフェを始めたり、陶芸窯を持つ人がいたり、密かに注目を集めている。
③涼を求めて千早赤阪村へ
あまりに暑い今年の夏。
下界の暑さを少しでも忘れさせてくれるだろうかと期待を込めて、
ジャッキーを連れて千早赤阪村へと行ってみた。
まずは千早川で釣りに挑戦。
次々と小ぶりのマスが釣れた。
釣った魚は自分でお買い上げのルールがあるので家族分の夕飯が釣れたところで切り上げた。
駐車場前に可愛いカフェがあった。
ワンコO.K.とのことでちょっと一服。
店内にエアコンは無く窓からの風が自然のクーラー。
日替わり店長さんによると近年の夏の厳しい暑さでクーラーの設置も考えているとか。
④今昔物語
子供の頃には自然の厳しさを教えてくれた金剛山。
息子や娘が子供の頃はいつものメンバーで、ロープウェイで山頂まで上がってお手軽ピクニックを楽しんだ。
そして今は厳しい夏にしばしの涼を求めて、山麓の村でジャッキーとのんびり過ごす。
今も昔もいろいろな楽しみ方ができる金剛山。
身近に楽しめる貴重な自然を大切にしていきたい。