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風景を考える 【アルヴァロ・シザ レサのスイミングプール】 #027

1966 PISCINA DAS MARÉS(レサのスイミングプール)
Alvaro Siza - Leça da Palmeira, Portugal

水位がいっぱいになると、メインプールの水が岩の一部を覆い、
自然と人工物の境界が曖昧になる

シザは人工のプールを海辺の岩盤の風景と融合させようとしました。
2006年に40周年を迎え、地元のランドマークにも選出されています。

シザは別著作の中で

自然条件が「すでにプールの設計を始めている」

と説明しています。
土地を調査した後、彼は海岸の巨大な岩の間に垂直な2つのコンクリートの壁を配置して、メインプールを形成しました。
小さな子供用プールは、より多くの岩の間に挟まれ、片側が湾曲したコンクリートの壁で囲まれ、コンクリートの通路の下にある子供サイズの通路からアクセスできます。
プロジェクトは潤沢な予算がなかったのですが、コンクリートの壁、歩道、階段のシンプルなプランにより、岩の間にアプローチを作成し、プールに合わせることができたため、新たな道のために景観を破壊する必要がありませんでした。資金不足はインスピレーションの欠如を意味していないと感じますし、このプールは京築を景観に溶け込ませた成功例だと考えます。


100 Years, 100 Landscape Designs | Hill, John

アルヴァロ・シザ Álvaro Siza

ポルトガルを本拠に活動し、地域性を反映させたシンプルかつ詩的な造形美で世界の注目をあつめる建築家
1933年、ポルト近郊マトジィニョスに生まれる
ポルト造形美術学校で建築を学び、ポルトガルを代表する建築家フェルナンド・タヴォラの事務所で働く
1955年独立して建築設計事務所を開設。多くのローコスト集合住宅や公共施設を手がけ、周囲の環境に調和し、地域的特色と機能性を兼ね備えた作品を発表してきた。
出世作「レサのスイミング・プール」(1966)は、自然の一部であるかのように海岸沿いの岩場を生かしてつくられ、スペインのキリスト教の聖地サンティアーゴ・デ・コンポステラの「ガリシア現代美術センター」(1993)は、隣接する修道院に似た花崗岩を用い、古い町並みに溶け合ったシャープで機能的なデザインとなっている。

その他代表作「ポルト大学建築学部棟」(1994)、「アヴェイロ大学図書館」(1995)、「サンタ・マリア教会」(1996)、「リスボン万博ポルトガル館」(1998)など

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