就活難航女にぶっ刺さった映画「花束みたいな恋をした」
こんにちは、爽香 なこです。
私は今年の春に大学を卒業したいわゆる21卒の人間なのですが、21卒界隈ではおそらく世間とはちょっと違う感じで「花束みたいな恋をした」が話題になっていました。
標題のとおり、就職活動が難航していた私ですが、それについてはこちらをどうぞ。
「花束みたいな恋をした」についてはこちらを。
今回はそんな「花束みたいな恋をした」を観た感想や、観た時に思ったことを書いていこうと思います。
※以下、ネタバレを含みます
1.観たきっかけ
単刀直入に言うと、馴染み深い土地が舞台だったからです。
映画が公開される前から、京王線に乗ると「花束みたいな恋をした」の宣伝関係のものを見かけました。スタンプラリーなどタイアップ企画でしたね。
(京王電鉄公式サイトの企画記事のリンクを載せようかと思いましたが、1年近く前のことなので記事が見当たりませんでした)
もちろん、そうなってくると私のまわりの人々も「花束みたいな恋をした」をふだんの会話に織り交ぜてきます。主人公のお2人もかなり有名な方が演じていらっしゃるので特に。
どんどん私の日常に溶け込む「花束みたいな恋をした」は、もはや無視できない存在になっていました。
そして公開日を迎えると、一気に人気に火がつき、私のまわりだけではなくSNS上でも多くの感想や批評が飛び交うようになりました。
私も観にいきたいとは思いつつも当時自動車学校に通っていて時間を取れず、できるだけネタバレを踏まないようにして生活をしていました。やっと観に行けたのは、公開から2週間近くが経った日の夕方のことでした。
2.行きて帰りし物語
私自身のことより、先に内容について触れておきます。
あなたは、「行きて帰りし物語」という言葉を聞いたことはありますか?
これは私が大学時代に講義で聞いたことなのですが、物語には型があるという話です。外部から何かがやってきたことによって物語が始まり、最後はその何かが外部へと去っていくことで物語が結末を迎える。そういった型があるといいます。
分かりやすい例では、『竹取物語』でかぐや姫が生まれ(月からやってきて)、月へ帰っていくことが挙げられます(ちなみにこれは講義で聞きました)。漫画の第1話で転校生がやって来るのも、その1つだとも聞きました。
そして、私の「花束みたいな恋をした」鑑賞後のメモ書きにこのようなものが残っていました。
未視聴の方がこれを見ると「どういうこと?」と思うかもしれませんが、視聴済みの方には共感していただけるでしょうか……。
本作品は、麦(菅田将暉さん)と絹(有村架純さん)の出会いと成長、成長によるすれ違いと別れの物語だと私は思っています。
麦と絹、お互いの世界に相手が現れ、最後にはその世界から相手が離れていく。こう考えると、行きて帰りし物語の型に当てはめられると、私は思っています。※あくまで個人の考え方です
そしてメモに書いた内容ですが、この部分が私にとって大変魅力的に映りました。物語の組み立て方ってこんなにも重要なのか……と勉強になったのはもちろん、心が動かされたような感覚に陥りました。
3.就職活動
冒頭でもお話ししたとおり、公開当時、この作品は21卒(2021年に大学や学校を卒業する人)の間で話題になっていました(私のまわりだけでないことを祈りつつ、いま書いています)。
「花束みたいな恋をした」では、就職活動が軸の1つになっていて、前半部分では、絹の就職活動が上手くいっていない様子が描かれています。
21卒の就職活動といえばご時世柄、思うところがあった人も少なくなかったと思います。厳しい言い方にはなりますが、これについては、「そうやってコロナのせいにしてるから就活が上手くいかなかったんだろ」というような意見を上の方々から言われる筋合いはないです。本人たちも分かってはいるので。このことはまた後日書きます。
そういうわけで、絹が会社説明会へ行かずに遊んでいたり、面接でつらい思いをしたり……というシーンに、何も思わないわけがないんですよね。Twitterのタイムラインを見ている限りでは、同じシーンについても共感や苛立ち、どちらの内容のツイートも見かけましたね。
4.自分と重ねては不安に感じる
そうした中、私が感情移入してしまったのは絹ではなく、麦でした。
またしても当時のメモ書きですが、こんなことを書いていました。
自分の好きなことや、やりたいことを仕事にする難しさ。そして何より、「就職して自分の夢を諦めてしまうこと」が怖かった。私は最後まで迷ったものの、就職する道を選びました。もちろん、夢は諦めていません。少しずつ貯金し、ある程度貯まったら仕事を辞めて文章を書いて生きていく。もしくは、公募の賞に応募し続けて、ご縁があればそこで仕事を辞めて……と考え、いまの道を選びました。
そんな私にとって、麦は私の不安を表面化したような人でした。麦は企業に就職し、そこでその仕事のやりがいを見つけ、忙しいながらも充実した日々を送っているように見えました。
私は、そうなってしまうのが怖かった。私も就職して、その仕事のやりがいや楽しさを知って、そのまま仕事を続けてしまったらどうしよう。夢を諦めてしまったらどうしよう。違う選択肢を選ばなかったことを後悔した。遠回りをして、その道中で目的地を忘れてしまうなんて、ただの迷子だ。新しい目的地を設定するには、どうしても今までの自分を否定することになりそうで嫌だった。お願いだから、私を置いていかないで。こんな風になりたくない。私はまだ、夢を諦めたくない――
そう思っては、無性に不安が募ってしまって。当時は2月だったので、2ヶ月後に就職する自分のことを想像して怖くなりました。
だからこそ、「夢を忘れずに追い続ける」ことを4月1日の新社会人となった日に、自分への戒めとしました。
5.映画館で観て10ヶ月が経った、今の私から
こうして、私の心にぶっ刺さった「花束みたいな恋をした」は、私にとって忘れられない大切な作品となりました。自分の将来への不安にどうしても重ねてしまいましたが、結果的にはこうして改めて考えることができたのは良かったのかな〜と思います。
私が思う見どころは物語の構成なので、そこに注目しながらぜひ観ていただきたいです。
ネタバレ有りと書いていても、やっぱりできるだけネタバレを踏んで欲しくない自分がいて、あまり細かな内容に触れずにここまで書いてしまいました! 初見時は純粋な気持ちで楽しんで欲しい!!
長々と書いてきましたが、ここで改めまして……。
2人の男女の5年間を切り取った物語、面白かったです!
そして主題歌を担当したAwesome City Clubさん、紅白出場決定おめでとうございます。
では今回はこのあたりで。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。