大事なものを見つけると、お守りになる。
松浦弥太郎さんは、ある小学校の記念碑を見て、
人生で大切にしたいものを見つけた。
そして、心の中でそれを、お守りのようにずっと
大切にしてきたという————。
高校時代。
人生に迷って、悩んだ末。本の中に答えを探そうと、生き方の本を読み始めたとき。
1番、心にヒットして、買いたいと思ったのが、
松浦弥太郎さんの『正直』という本だった。
「暮しの手帖」の編集長としても、文筆家としても、名を知られている松浦さん。
謙虚だけれど、自分なりの指針があって生きている姿や、心にふわっと響く文章がとても素敵で。
『正直、親切、笑顔。』
この3つが、松浦さんが人生で1番大切にしたい、核となる指針だそうで。
「これを守っていけば、大丈夫。」
そう思えることばを見つけたことは、心の拠り所となり、お守りのような存在にもなったという。
それを知った私は
私もそういう言葉が欲しい。
自分の核を、早く見つけたい。
そう焦って、片っ端から自己分析とか、紙に書き出すとか、あらゆることをしてみた。
————けれど。
「自分」という存在について、一生懸命考えようとしても、全然掴みどころがなくて。
霧の中を、必死にもがいている感じだった。
気づけば、そっと近くにあるもの。
今はそんなに、自分の大事にしたいものや、指針がわからないと悩むこともなくなった。
素直、自分らしさ、自然体、自由。
そんな言葉が、今の自分にはしっくりくるけど。
それは、もがいている最中からずっと傍にあって、寄り添ってくれていたものでもあった。
もがいて。動いて。もがいて。
今になって、わかる。自分についてよく考えたこともない人が、いくら本を睨んでいても、答えは出てこない。
当時は、それを知らなかったけど。
自分なりに、もがいて、動いてみて、
「分からん!!」と頭を抱えて、また悩んで。。
というのを繰り返していたら。
いつの間にか、雲の上から顔が出て、視界が晴れていた。という感じなんだ。
考えているのは、同じこと。
今も昔も、根っこの自分は同じ。だから結局、中身が変わったというより
自分のしっくりくるものに対して
センサーがより敏感になっただけ。
だと、思う。
焦って、答えを探そうとしなくても、本当は初めから、なんとなくわかっていたんだよね。
…
だからもし振り返って、エールを送るなら。
なんでも使って、やってみたらいい。
自分を探してみたらいい。
色んなフレームをくぐって、比較していくうちに、元から持っている感覚の輪郭がはっきりしてくるから。
やったこと全部、無駄になんない。どうせわかる。どうせわかってる。どうせ安心できるから。
だいじょうぶ。
そんな言葉を届けたい。
『あなたの大事なお守りはなんですか?』
おわり。