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全国水族館の旅【44】京都大学白浜水族館

タイトル名に「京都大学」と入っていますが、今回の舞台は和歌山県南部の海です。白浜は和歌山が誇る一大リゾート地であり、「関西でマリンレジャーを楽しむなら白浜!」という意見を強く聞きます。
なぜならば、白浜には超美麗なサンゴの海があるからです! 本州屈指の美しさを誇る海域には、雅な海洋生物たちの楽園があります。天国の海に面する水族館では、どのような生き物たちが待っているのでしょうか。


白浜最高! 海洋生物を学んで味わう!!

関西国際空港に降り立った筆者は、空港内で車をレンタルしました。休憩含めて3時間近いドライブを経て、念願の白浜へと到着! 潮の香りと美しい海に心が洗われます。
メインの観光シーズンは夏期ですが、白浜にはおいしい海の幸やたくさんの温泉があるので、年間を通して観光客がとても多いです。海と温泉が好きな人なら、絶対に訪れておきたい関西の有名スポットと言えます

海水浴、絶景探訪、生物観察。海が好きな人ならば誰もが楽しめるリゾート地。それが白浜です!
白浜は有名な温泉地。昔ながらの銭湯やスーパー銭湯、さらにはホテルの浴場などに天然温泉があふれています。

さっそく、美しい海洋の名産物を味わいに行きたいと思います。絶品の海の幸が味わえる最大のグルメスポットと言えば、西日本最大級の海鮮マーケット「とれとれ市場」です。新鮮な魚介類が販売されているうえに、市場内では朝おいしい海鮮料理が味わえます。
白浜の観光街から車であっという間にアクセスできるので、ここはぜひ訪れていただきたい場所です。活気に満ちた市場の雰囲気に浸れば、きっとテンションは爆上がりします!

白浜の新鮮なグルメスポット・とれとれ市場。巨大な魚屋さんといった様相であり、海鮮料理レストランや和歌山県の物産店も入っています。
とれとれ市場の中は、まさに「特大スケールの魚屋さん」。海鮮以外にも和歌山県の名産物専門ショップがありますので、自分なりの買い物を楽しみましょう!
市場の中に大型水槽を発見。和歌山の海に棲むおいしい魚たちと対面できます。
これぞザ・海鮮市場といった感じですね。とても敷地面積が広く、たくさんの魚介類を見させていただきました。
和歌山県産のアサヒガニ。とっても見た目が可愛いし、そしておいしそう(笑)。

もちろん、ランチは最高の海鮮料理。新鮮なお刺身やお寿司はもちろん、和歌山のイイダコ入りのタコ焼きも美味すぎます。あまりにもおいしすぎて、ついつい食べすぎてしまいました(笑)。

とれとれ市場限定の海鮮丼。一発で惚れるほど超絶おいしいです。白浜最高!
和歌山のイイダコを使ったタコ焼き。1つのタコ焼きに1匹のイイダコが丸々入っています。噛みごたえ抜群で、超超超超おいしいです!!
とれとれ市場名物・キハダマグロの解体ショー! 従業員さんが切ったマグロの部位は、その場で格安販売されます。

お腹を幸せで満たしたら、いよいよ海岸線沿いの水族館へ。本館は京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所が有する展示施設であり、白浜の海洋生物がメインの展示となっています。
美しくおいしい魚たちを育む海洋生態系。魅力的な白浜の海を、本館で学術的に詳しく知ってみたいと強く思います!

とれとれ市場から再び海岸線に向けて車で走り、水族館を目指します。この周辺にも、海鮮料理のレストランがあります。
やってきました、京大の白浜水族館。学術機関の展示施設なので、素晴らしい教育性と学術性を有しています。

リゾート地の水族館で最高の生態系学習スタート!

壮美な白浜に舞う個性豊かな海洋生物たち

受付カウンターを過ぎて入館しすると、いきなり眼前に大型水槽が現れます。この「第1展示室」では大小様々な魚たちが飼育されており、特に大きなヒラアジ類の群舞が目を引きます。
豊かな海には多様な魚たちがいて、そこに住む人々の生活を支えているーーその真理を改めて感じさせてくれます。

入館してすぐに第1水槽室の大型水槽が出現。大きなヒラアジ類の舞が壮観です。
見事なヒラアジ類やカンパチ。おいしそうと思った人、絶対多いはず(笑)。
筆者の推し、カスミアジ。尾ビレと背ビレのクールな色合いが素敵!
エイラクブカ。水槽の底部では、サメやエイの仲間を観察できます。

続いてのエリアは「第2水槽室」。こちらは30個以上の水槽を擁する大きな空間であり、白浜の多様な海洋生物たちと出会えます。中央部には大型水槽もあって、見ごたえ抜群! 豊かな白浜の魅力を感じながら、観覧を進めていきましょう。

第2水槽室中央部の大型水槽。全方位から生き物たちを観察しすることができます。
壁面に設けられた水槽。それぞれで、白浜の個性豊かな生き物たちがピックアップされています。
水槽に隣に設置されたラミネート資料。海洋生物に関する様々な知識が記されています。

第2水槽室を一言で表すならば「百花繚乱」。詳細なキャプションと共に、数多くの海洋生物の秘密を学べます。
本州屈指の美しさを誇る海は、まさに生命の楽園。水槽内の生き物たちを観察していると、自然界での姿も拝みたくなりますね。

全方位観察型の大型水槽。魚類のみならず、海洋無脊椎動物も多数飼育展示されています。
恐ろしくかっこいいノコギリウニ。ちなみに、ウニはヒトデやナマコと同じ棘皮動物に分類されます
大きくてかっこいいニシキエビ。イセエビ類の一種です。
トラフナマコ。潮間帯にいるので、磯に行ったら自然界の個体を探してみてはいかがでしょうか。
ノコギリガニ。岩礁地帯に棲むクモガニ類です。

第2水槽室の奥には小型水槽が立ち並んでおり、そこでは私たちがなかなか出会うことのできない不思議な生き物たちを観察できます。キャプションもとても丁寧で見ごたえがあり、大学の学術展示施設ならではの深い味わいがあります。1つ1つの生体展示と解説資料を詳しく学べば、白浜の生態系への理解度が一気に高まります。

第2水槽室の奥の小型水槽。特殊能力を有するユニークな生き物たちとの出会いが待っています。
こう見えてクラゲに近い動物であるイラモ。紀伊半島南部から琉球列島にかけて生息しています。
不思議な甲殻類モクズショイ。体に海藻やカイメンをくっつけて、見事にカモフラージュします。物を体にくっつける仕組みはマジックテープと同じであり、微少な鉤状の毛によって物を引っかけているのです。
シマキッカイソギンチャク。恐ろしい毒の棘を有していますが、その外観は花のようでとても美しいです。
詳細かつ丁寧なキャプションにて、海洋生物の特徴を解説。多くの方々には馴染みの薄い海綿動物たちの秘密も、この展示で詳しく理解できます。

花咲く多様性! 楽園の海の生命が大集合

生体展示にワンクッション入れて、「第3水槽室」ではたくさんの標本と解説資料で海洋生物の不思議を学習します。筆者の大好きなグソクムシ類の標本展示、京大ならではの専門性際立つマニアックな生物解説もあり、正直かなり燃えました! 本展示で海洋生物学への好奇心をさらに高めたら、本館主催の環境教育イベントにも参加してみましょう。

たくさんの生物標本と濃密なキャプション。これぞ学術施設、素晴らしい!
グソクムシ類の標本展示。大きなダイオウグソクムシもかっこいいですが、(筆者的に)ちょうどいい大きさのオオグソクムシが可愛くて大好きです。
海棲爬虫類セグロウミヘビの液浸標本。毒の強さはコブラよりもはるかに上です
ガチな生物オタクが感動する分子系統学の解説ポスター。カサガイ類は巻貝の中でも原始的な部類に属します。
ウニの巣穴に棲む貝類・ハナザラの解説。とてもマニアックな生き物なので、詳細な情報を学べて本当に嬉しいです!

ここからは水族展示が再開。さらなる出会いが待つ「第4水槽室」の観覧のスタートです。
どんな水族館にも強い個性や展示の独自性があり、本館にもかなり他にはないユニークな生体展示が見られます。筆者が特に惚れたのは、ヒョウモンガラドオシの白変個体(アルビノではありません)。白くて細長い体とつぶらな瞳が可愛くて、あっという間に虜になりました。生き物には必ずチャームポイントがありますので、ぜひ観察しながら萌えどころを探してみてください!

第4水槽室の観覧スタート。紀州の海洋には、まだまだたくさんの生き物たちが息づいているのです。
細長い体を備える魚ヒョウモンガラドオシの白変種。串本沖で発見された、非常に珍しい白い個体です。
蛍光性タンパク質を有するオオカワリギンチャク。2004年に新種記載されたイソギンチャクであり、白浜の沖には彼らの群生地があります。
イモガイ類タガヤサンミナシ。超強力な毒針を有しており、刺されると人間ですら命を奪われかねません
タケにくっついたアオリイカの卵? 同じ和歌山県にあるアドベンチャーワールドのパンダが食べ残したタケを活用し、アオリイカの産卵場を作ったのです。

各展示エリアにて魅力的な海洋生物がたくさんいますが、ここでは敢えて甲殻類に注目します。海の妖精のように愛らしい小型種から、ずっしりして強そうな大型種まで、実に多様で美しい種類が目白押しです。改めて、これほど種数豊かな生命を育める白浜の懐の深さに感動しますね。

カイカムリ。ハサミの先端の赤い部分が彼らの特徴です。
「海のボクサー」ことモンハナシャコ。捕脚から繰り出す打撃はとても強烈で、パンチでガラスを割ることもできます
オトヒメエビ。美しさと可愛さを併せ持つ素敵な甲殻類です。
ムラサキオカヤドカリ。白浜にも棲んでいますが、天然記念物ですので、自然界で見つけても刺激せずそっと観察しましょう。
ちっちゃなチゴガニ。縄張り争いやメスのアピールのために、オスはハサミを掲げてダンスします。

魚類の生体展示に関しても、とっても豪華で目を奪われてしまいます。遊泳魚も底生魚も種類は幅広く、ユニークで愛らしい魚たちにたくさん出会えます。
白浜の海は無限の生命があふれる楽園。どんどん展示に引き込まれるに伴って、これほど素晴らしい白浜の海洋環境は必ず保全し続けなければならないという想いが強くなっていきました。

大型水槽の中を泳ぐ魚たち。白浜のサンゴ礁をイメージして、水槽内では造礁サンゴ類が育てられています。
構造物の隙間に隠れるイタチウオ。暖かい海の岩礁地帯に生息しています。
多種のウツボ類が飼育展示されている水槽。筒を飛び出し、活発に泳ぎ回っている子もいました。
ヒラスズキ。おいしそうと思うよりも先に、かっこいいと感じました。
鮮烈な体色のセンネンダイ。美しい大型魚なので、多くの水族館で人気者となっています。

美しき紀州・白浜の海岸線に立つ京都大学白浜水族館。圧倒的な学術性を有し、海洋生物への関心を強くかきたててくれる夢の展示施設です。そして水族館全体が、素晴らしき白浜の海洋環境へのリスペクトであふれています。
海の美しさを感じ、海の尊さを学べる白浜。ぜひとも、たくさんの方々に紀州が誇る楽園に訪れていただきたいと思います。

駐車場の近くには屋外水槽があります。潮風を浴びながら、白浜の生き物たちをじっくり観察しましょう。

京都大学白浜水族館 総合レビュー

所在地:和歌山県西牟婁郡白浜町459

強み:無脊椎動物から大型魚類まで白浜に棲む多種多様な海洋生物の専門的生体展示、学術機関の運営施設ならではの抜群の学術性と教育性、海洋生物の生態や分類に関するマニア垂涎の濃密な解説資料

アクセス面:関西地方にお住まいの方なら、車でのアクセスをオススメします。旅行者の方は白浜までは公共交通機関を利用し、現地にてレンタカーやレンタサイクルなどの移動手段を活用するのがリーズナブルだと思います。大阪からレンタカーに乗って行くのも1つの手段ですが、白浜はかなり遠いので、可能ならば和歌山県内までの移動は公共交通機関を推奨します。

白浜の海洋環境への専門性、極めて高い学術性にあふれる京都大学の運営水族館。魅力的な生体展示に加えて、各生物に詳細な解説キャプションが配されていて、海洋生物の特徴や生態を細かく学ぶことができます。また、第1水槽室や第2水槽室には見ごたえ抜群の大型水槽が設けられていて、迫力の水族展示に子供たちも大興奮すると思います。
飼育展示生物は約500種にも及んでおり、特に無脊椎動物の種数と多様性には圧倒されます。魚類たちも百花繚乱であり、生体展示を通して、紀州の海中の景色を強くイメージできます。とにかく個性的な生き物たちのラッシュが続き、最後まで来館者の知的好奇心を刺激し続けてくれます。
本館を訪れれば、白浜の海洋生態系の奥深さと多様性に誰もが驚き感動します。超絶的に壮美な紀州の海には、個性的で謎めいた生き物がたくさん棲んでいるのです。水族館観覧の感動を抱いたまま、ぜひ白浜の海洋フィールド探究へ出かけましょう。本館主催の環境教育イベントに参加してみるのも、素晴らしき知識と経験の獲得につながると思います。

白浜水族館による海洋生物研究の解説ポスター。本館は京大の特別学術施設なので、数々の研究調査に加え、一般層への環境教育も実施されています。

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