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職場にいるズル賢い人について

どこの職場にもひとりや二人、あまり手は動かさないけれども、しゃべりがうまくて、要領が良さそうに見える人っていませんか。

私も若い頃に、そのような同僚がいて、こちらは苦労しながら細かい作業を愚直に積み重ねているのに、会社の評価は同僚とあまり変わらず、無性に腹が立ったことがありました。

しかし、30代前半に米系企業に転職して、様々な国から来た上司、同僚、部下と働くうちに、このようないわゆる「ずる賢い人たち」の見方が少しずつ変わってきました。

「彼らは彼らなりのスキルがあり、自身も見習うべきことがあるのでは無いか、また彼らも要領が良さそうに見えながら、苦労があるのでは無いか」と、徐々に考えるようになりました。

今日は、私の過去の経験から、職場にいる「ずる賢い、要領の良さそうな人たち」からの学びを共有したいと思います。

目次

  1. 手は動かさない、しゃべり専門の人からの学び

  2. 要領の良さそうな人たちの苦労

  3. まとめ


1.手は動かさない、しゃべり専門の人からの学び

自分は経営企画や財務企画の仕事を長年専門にしてきたので、若い頃から常に手を動かしながらエクセルで細かい計算を積み上げてきました。そんななか、財務担当でありながら、計算が苦手でほとんど自分で手を動かさない外国人の同僚に遭遇しました。ただ、彼はしゃべりは非常に上手く、他人の分析作業をあたかも自分がやったかのように、上司に説明したり、社内のSNSでアピールしていました。

自分の部下の人たちが苦労して手がけたプロジェクトに、彼が深く関わっているかのように、振る舞っているのを見て、当初私は非常に腹立たしく思いました。ただ、幸いにも、経営陣の目は節穴では無く、プロジェクトについて計算根拠など細かい質問をぶつけると、最終的には「しゃべり専門の同僚」は答えにつまり、徐々に信頼を失うことになります。

一方で、見方を変えると、プロジェクトの重要な裏付けとなる計算根拠を十分に理解していないにも関わらず、表面的ではあるものの、プロジェクトの概要をさらっと、それなりのストーリーにして説明できるのは大したスキルだなと、妙に感心しました。

日本人の我々は単一民族で、阿吽の呼吸以心伝心でなんとなく、お互いの気持ちを察したり、理解することに慣れています。謙虚さが美徳であり、特に自分の功績をアピールする必要もあまりなかったと思います。

しかし、最近は日本でも、会社、世代、専門、人種の垣根を超え、異なるバックグラウンドを持つ者が協働する機会が徐々に増えています。そのため、各自が周りの人達を巻き込んで仕事を進めていくためには、論理的、かつ感情に訴える説得力のあるストーリーを語れる事が必要不可欠になります。

そこで、私は数年前に
財務部門の年初目標として以下の2つを挙げたことがあります。

- 伝えたいメッセージを明確にしよう。
- 数字では無く、ストーリーで語ろう。

自分の部下の人たちは既に計算や分析能力は十分に伸ばしていたので、計算&分析結果が何を示唆しているのか、キーメッセージを明確にし、ストーリーを語れるようになるべきと考えました。具体的には、会社はどのようなアクションをとるべきかをストーリーにして、経営陣に伝えていくことを実践し始めました。

よって、「手を動かさないしゃべり専門の同僚」のおかげで、私の部署は、一段階上の次のステージに進むことができたと思います。


2.要領の良さそうな人たちの苦労

上で話した、「手を動かさないしゃべり専門の同僚」以外にも、成果を横取りしようとする同僚に遭遇しました。特に印象に残っているのが、自分が面接など長期間の採用活動を経て苦労して見つけた優秀な人材を、採用直前に別の部署の外国人部門長に横取りされそうになったことがあります。

最終的には阻止できたのですが、成果を出すためにはどんな手を使ってでも、必要なリソースを手に入れようとする人たちと競争し、勝たないといけない、資本主義経済の厳しさを社内で思い知らされました。言い換えると、彼らも過去にそのような環境で勝ったり負けたりしてきたのでしょう。良い勉強になりました。

また、面白いなと感じたのが、彼らはそんなことが社内であっても私に対して、悪びれる素振りもなく、ひょうひょうとしていることです。よって、なぜそんなに逞しいのか、私は彼らに興味を持つようになりました。

彼ら外国人社員の中には移民としてヨーロッパやアメリカで育ったり、南米の貧しい国で苦学ののち、米系企業になんとか入社し這い上がってきたものもいます。彼らは生き残っていくためには、自分の今の地位を守り、さらに上を目指そうと必死なのだと、徐々にわかってきました。

また、日本人の中にも、彼らのようなタイプの人がいますが、恐らく似たような、なんらかの背景があるのかなと最近は考えるようになりました。表面的にはずる賢くみえても、人それぞれ見えない苦労があるのでしょう。


3.まとめ

以上が私が「ずる賢い、要領の良い人たち」から得た学びになります。彼らの長所を認識し、自分たちの足りない能力を認めることにより、スキルアップの機会を見いだせました。また彼らのバックグラウンドや苦労を知ることにより、彼らなりの事情もより理解できるようになったと思います。

今後、日本も多様性をより幅広く受け入れる社会にシフトしていくと思います。自身の過去の実務経験から得た小さな学びですが、何かの参考にしていただければ幸いです。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


ありがとうございます😄