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SatoshiIwasa
2023年4月28日 10:08
乳歯のやわらかさを、二度とあじわうことが、できないと知っていながらも、主語のない大胆な呻きから、一日がはじまるのかもしれない。舌でたしかめる濃い、唾液の温度。日射病の、なつかしさ。あの場所には浴びるほど、身体にとりいれたかった、日陰があった。とても丁寧に、描かれる曲線の束が、視野にあらわれて異性の肉体が急に、恋しくなったのをおもいだす。貧血に、比例して私たちの目は、無造作をゆるす皿に、新しい朝が盛
2023年4月4日 20:58
葉と葉の間一つ一つがお稲荷様だ。背中の毛が濡れている。どぶ板の上につくられたお稲荷様、出勤前のホステスの腰の臭いを嗅ぎたくて体をかたむける。どぶを流れる油の虹色の反射が岩手の女のようだと言って喜んだ。東北の北のほうにしか褐色の女はいないという。お稲荷様は明け方石になる。葉はそろって不潔に揺れる。