人はみなクリエイティブ【読書のキロク】
こんばんは、"もっちゃん”です。
記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。
最近は“身体知”に興味が出てきました。
“熟達”や“実践知”について研究していくにあたり、その"暗黙知”の行き着く先はどこなのだろう、と考えると“身体”に行き着くような気がしています。
ただ“身体知”について知識もなにもなさすぎて、どこから手をつけたらよいかわからない状態です。調べながら行き着いた新書になります。
◯今回読んだ本:『身体が生み出すクリエイティブ』 著者:諏訪正樹 ちくま新書
著者の諏訪正樹氏は慶応SFCの教授のようです。
(出版が2018年ではありますので、現在は定かではありませんが…。)
その他論文等も執筆なさっているので、今後取り上げていければと思います。
◯概要
お笑いの話題が多く出てきてはいますが、とくにお笑いの科学を追究しているわけではありません。
いろいろな話題を通して、人間が持つクリエイティビティについて語っているといった感じだと思います。
◯クリエイティブの研究
creativityに関する研究は、これまでも多く存在します。
creativityというと、「天才が持ち合わせているもの」だったり、「突然の謎のひらめき」などといわれ、謎化・神格化されることも少なくありません。
立場的には、そういったわけではなく、
しっかりとした認知・思考過程がそこにはある
とした上で、その内実を明らかにしていこうというスタンスかと思います。
私としてもそれは完全に同意で、そこを明らかにしていくことが、“熟達”や"実践知”の獲得につながるものとも思います。
それに向けた研究の一端を、本書からは感じ取れたように思います。
◯認知過程を言語化
謎化・神格化を避け、科学として捉えるにあたり、認知過程を言語化していくということが必須であるように思います。
なんとなく、筆者はその言語化していく過程それ自体が、身体知を身につけていくにあたって大切なことと捉えているように思います。
「なぜそういったことが思いついたのか」
「どのようにコツを身につけたのか」
「どう考えてその行為に至ったのか」
などといったことを逐一言語化していくわけですが、とても大事なことと思います。
話は変わるかもしれません。疑問に思ったこともあります。
個人的には元ジャイアンツの長嶋茂雄氏が大好きです。
長嶋氏は、よくバッティング等を指導する際に
「バッ」とか「グッ」とか「ビュッ」とか
オノマトペ(?)的なものを用いている感じがします。
これは言語化に至っているのかいないのか、というところが疑問ではあるのですが、身体知の獲得という視点では、なんとなく効果的であるようにも感じています。
自分としては、言語化しきれない言語化、というのが面白いところのようにも思いました。感覚的には共有できるものでもあると思うのですが、共有できる範囲が限られるという点で異なるのかとも思いました。
他の書籍とかも読めば、この辺りへの言及もありそうなので、少し文献に当たってみたいと思いました。
◯研究方法という視点
前回に続き、やはり研究方法にも興味がありました。
今回、"1人称視点”の研究の仕方が取り上げられていましたが、この研究法がとても面白いと思います。
本来、その人の認知過程を捉えるとなれば、その人が語る以外に現在では方法がないように思います。
それを本書の筆者は自分でもやってみていることが面白い!
おそらく野球の技能の熟達(自分の熟達)が出発点なのではないかと思うのですが、
お笑いのIPPONグランプリのお題で、何回も繰り返し回答を考えてみたりするなど、自分の発想の過程を研究しようとしているあたりが面白いです。
こういったアプローチの仕方もあるのだなぁ、と改めて気づきました。
◯からだメタ認知
本書では詳しく取り上げられてはいませんでしたが、筆者の「からだメタ認知」という考え方にはとても興味があります。
筆者の別の本『「こつ」と「スランプ」の研究 身体知の認知科学』という本に詳しく書かれているようなので、のちほどそちらも参照してみたいと思います。
この「からだメタ認知」に含まれる「からだ」とは、身体のどこまでを指すのか。
認知のプロセスもすべて「からだ」に含まれるのか。
そういったことを意識しながら読んでみたいと思います。
そんなことを考えた1冊でした!
新書とはいえ、なかなか読んでいて興味深いものでした。
次の本も楽しみにしたいと思います。
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