中学理科における「問い」とは?【論文備忘録】
こんばんは、"もっちゃん”です。
記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。
最近は、「探究的な学び」における「問い」について考えています。
100%子ども発祥の「問い」とするならば、カリキュラムとの乖離が起こりかねません。その一方で、カリキュラムに即した「問い」となると、子どもからの乖離が起こりかねません。
もちろんその両立を良い塩梅に目指していくこととなるのでしょうが、その具合がわからず困惑しているところです。
そのような中、少し面白いと思ったアプローチの研究がありました。
今回は【論文備忘録】です。
⓪今回取り上げる研究:中山迅・猿田祐嗣・森智裕・渡邉俊和(2014). 科学的探究の教育における望ましい「問い」のあり方―日本の中学校理科教科書における「問い」の出現場面と種類―. 理科教育学研究. Vol.55. No.1. pp.47-57.
理科教育学研究の原著論文です。10年ほど前の論文になりますが、アプローチの仕方はとても参考になります。
①要旨
本論文の抄録をそのまま転載させていただきます。
中学校理科の教科書研究になります。
その後2回ほど教科書の改訂があったかと思いますので、若干当時のものと内容は異なるのかもしれません。
②教科書に書かれている「問い」
中学理科の授業の「問い」について考える際に、教科書をベースにするというのは、当然のことではありながら見落としがちなところのように思います。
えてして「教科書の内容を学習するときに、適切な問いを立てさせる」となった際、教科書から離れかねないことがありがちのように思います。
そもそも「教科書ではどのような学習が想定されているのか」といったことは、前提条件であり、踏まえなければならないことです。
それに改めて気付かされました。(すごく今更ではありますが。)
本研究では、教科書会社5社の教科書すべてにおいてどのような「問い」が設定されているのかを書き出し、分類しています。
総データ量は4,177件!!!
1社あたりに平均してみても約800件!!!
3年間でやるにしても、1年間約270件!!!
1時間あたりに換算しても、毎時間2件以上!!!
それだけの「問い」が教科書にはすでにあるわけです。
正直それをなぞっていくだけで、とても良い探究的な学習になることが想像できます。
まず、このアプローチの仕方に感服させられました。
4,177件のデータ入力て。それだけでお腹いっぱいです。
③「問い」を立てる力
教科書の「問い」を進めていけば、かなりの学習ができると思いますが…
同研究で示されているPISA2006では、日本では「科学的な疑問を認識すること」において課題がある、とされています。
いわゆる「問い」を立てる力に課題がある、ということでしょうか。
考えてみると、これから求められている力はこっち寄りな感じもします。
教科書の「問い」に基づいて学習していくことで、探究的な方略は十分に学べるようにも思うのですが、確かにこの根本的な部分はどうなのでしょうか。
もちろん、理科の授業においては、「検証可能性」とか、そういったものまで踏まえなければなりません。
教科書に示されている「問い」は、こうしたものを踏まえた
“ロールモデル”
的な位置付けになるのだと思います。
本論文でも、これが効果的に作用すれば、「問い」を立てることができるようになるのではないか、的な記述があります。
それはその通りだと思います。
その「効果的な作用のさせ方」がわからないんだ、私は!!!
④足場かけによる援助
本論文の最後では、こう書かれています。
そうなんだよなぁ〜。と思うばかりです。
教科書に示されている「問い」をうまく活用しながら、生徒を活動に向かわせていくことが大事なのです。
そうなんだよなぁ〜。と思うばかりです。
きっと、この論文を受けて、それに基づく実践などが多数行われているように思うので、今後はそれを少し辿っていきたいと思います。
まだ具体的な実践がイメージしきれない自分がいますので…。
そんなことを考えた研究でした!
教科書研究と言えるのかはわかりませんが、こうしたアプローチはとても面白いと思いました。勉強になりました。
自己紹介はこちらから。