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うつ病回復期の過眠に効く薬

うつ病の回復期は眠気との戦い

うつ病になってしばらくすると体が回復してきて、やがて安定期に入る。しかし、安定したからといって完全に回復したとはとても言い難い。

むしろ眠気がすごくて一日中寝ているという状態になる人も少なくない。うつ病特有の気持ちの落ち込みや食欲のなさなどはなくなってくるが、午前中でも眠気がすごくて活動できない人は多い。

そこでそんなうつ病回復期に効く薬を紹介していこうと思う。

眠気の改善にはノルアドレナリン作動薬がきく

最初に結論からいうと、ノルアドレナリンに作用する薬がきく。具体的にはストラテラ(アトモキセチン)やブプロピオンなどだ。これらの薬はノルアドレナリンの脳内濃度を上げることができる。

ノルアドレナリンとは脳内神経伝達物質の一つであり、交感神経が働くときに使われる物質である。ちなみに、副交感神経が働く時に使われるのがアセチルコリンだ。

交感神経はアクセルとブレーキでいえばアクセルにあたる。交感神経が働く時に使われるノルアドレナリンを増やすことができれば、交感神経が正常に働いて、日中の活動をしやすくなるという仕組みだ。

SNRIはなぜ日中の活動量を増やせないのか

ノルアドレナリン作動薬といえば、普通に考えれば抗うつ薬のカテゴリの一つであるSNRIが思い浮かぶ。しかしSNRIのイフェクサーやサインバルタは日中の活動量を増やすことにうまく働いてくれないことが多い。

なぜならSNRIはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬という言葉にある通り、ノルアドレナリンだけではなくセロトニンも増やしてしまうからだ。

簡単にいうと、セロトニンはノルアドレナリンの調整係である。つまりノルアドレナリンが増えすぎないように調整しているのがセロトニンなのだ。

うつ病回復期の脳内神経伝達物質のバランスを表現すると、セロトニンは足りていて、ノルアドレナリンが少ない状態だといえるだろう。だからこそセロトニンを増やしてしまうと、せっかくノルアドレナリンを増やしてもセロトニンによって調整されてしまうのだ。

だからこそ、うつ病の回復期にSNRIで気持ちを持ち上げようとしてもイマイチ持ち上がり切らないという状態になってしまう人が多い。セロトニンを増やして悪い方向に行くのであれば、いっそのことノルアドレナリンだけ増やす薬を服用すれば良いのだ。

NRI(ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)ストラテラの効果

NRI(ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)の一つであるストラテラは日本においてはADHD治療薬の一つとされている。しかし、その効果はかなり抗うつ薬に似ていて、セロトニンやノルアドレナリン、ドパミンに効いてくれる。

それぞれに対する割合は以下の画像のようになっている。

対比としてSNRIのサインバルタ(デュロキセチン)も載っているが、比較するといかにノルアドレナリンに対する効果が強いのかわかってもらえると思う。

主要な抗うつ薬の中では最もノルアドレナリンに強いサインバルタの、約4倍もノルアドレナリン阻害効果が強いことがわかる。つまりそれだけ交感神経の働きを助けて日中の活動量を上げてくれるということだ。

DNRI(ドパミン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)ブプロピオンの効果

ちなみに同じようにノルアドレナリンに効果のある薬として手に入るのは、個人輸入になってしまうが、ブプロピオンが挙げられる。以下の画像にあるように、主にドパミン優位の薬となっている。

サインバルタとストラテラ、ブプロピオンはそれぞれ似ている薬だが、最も効果のある神経伝達物質がそれぞれ違う。サインバルタはセロトニン、ストラテラはノルアドレナリン、ブプロピオンはドパミンを主に増やす。

ドパミンは主に意欲向上に効果のある神経伝達物質だ。つまり、意欲を向上させたい場合にはブプロピオンが最も効く可能性が高いということだ。対してただ単に活動性を増やしたい時にはノルアドレナリンに効果のあるストラテラの方が効果があるだろう。

人によってどの神経伝達物質が足りていないかは異なるので、それぞれの薬物を試してみないとわからない。ひとまず全部試してみることをおすすめする。

ちなみに私はブプロピオン以外は試したことがあって、最も鬱改善に効果があったと感じたのはストラテラだ。つまり私の脳内にはノルアドレナリンが足りていなかったということだ。

うつ病治療には自分の脳内に足りていない物質が何か確かめる必要がある

うつ病は脳内の神経伝達物質が足りていないことが原因だと言われている。その物質とは主にセロトニン・ノルアドレナリン・ドパミンの3種類だ。

その内どれが足りてなくて鬱になっているかは人によって差がある。例えば不安が強い人はセロトニンが足りていないだろうし、意欲が足りないと感じる人はドパミンが足りていない可能性が高いだろう。

しかし、それは実際に今回の記事で紹介した3種類の薬物を順番に試してみないとわからないだろう。サインバルタ、ストラテラ、ブプロピオンを順番に試してみて、どの神経伝達物質が足りていないかを確かめる必要がある。

ちなみにブプロピオンだけは個人輸入になってしまうので、国内で処方してもらうことはできない。代わりとなる薬は例えばコンサータとかビバンセになるが、中枢刺激作用もおまけについてくるので完全に代替となるかというとそうともいえない。

どうしても試したい時はオオサカ堂などでブプロピオンを個人輸入して服用してみると良いだろう。

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