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写真の話

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ちゃんと写真の話をしてる記事のまとめ。
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#写真

宣材写真撮影を撮った時のこと(実例)

宣材写真撮影を撮った時のこと(実例)

先日、「宣材写真を撮る時のこと」というnoteを書いた。今回はその実例を書いてみようと思う。ちなみに書き出してる現在、お客さんに書いていいかの許可はまだもらっていない。書き損にならなきゃいいな、どきどき。

4月中旬頃、以下のような問い合わせを頂いた。

「宣材写真を撮って頂けませんか?プロの演奏家なのに写真が苦手で。HPで料金は拝見済みなので、ご検討お願いします」

まれに「料金を説明すると返信

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私の撮る花

私の撮る花

少し前にロケ撮影をしていた時、枯れて地面に落ちた桜を見たお客さんに

「あ、サトウさんの大好物ですよ」

と言われたことがある。

お客さんにとっては単なる茶化しだったのかもしれないが、私はそれがなんだか嬉しかった。

私が枯れた花を撮るようになったのは、もう10年以上前のことだ。人に唆されて、個展をやることになった時だった。

何をテーマにするか考えた時に、私はいつも自分が撮ってるもののことを考

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宣材写真を撮る時のこと

宣材写真を撮る時のこと

宣材写真を撮る時のことを話してみようと思う。

宣材写真を撮れるようになろう、と思い立った数年前、どう撮るのが良いのかを調べたり人に聞いてみたりしたのだけど、分かったのはどうやら「明確な答えを持っている人はいない」らしいということだけだった。

ならばどんな写真でもいいのかと言えばそうでもないようで、写ってる本人は「とりあえずポートレートで撮った写真を使ってるけど、これでいいのか分からない」と言っ

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大嫌いな後輩の話。

大嫌いな後輩の話。

写真館に勤めていた頃の話である。Sという後輩がいた。

Sは大変に人を舐めた人間であった。仕事が遅く、ミスも多く、しかしプライドは高く、こちらがミスを咎めると「テヘペロ⭐︎」と冗談ごとにしようとし、通じないと知るとつまらなそうな顔を隠さず開き直り、こちらがフォローしてるというのに堂々とサボるなどをして、またそれを咎めても「テヘペロ⭐︎」などと抜かし、幾度となく「××すぞ(命を強奪することを仄めかす

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写真のセンスがない。

写真のセンスがない。

写真のセンスがない。

写真を始めて優に10年を超えるのだが、自分にセンスというものを感じたことが一度もない。写真をやらない人達が「私にはセンスがないから」と言う度、「私にもないけどな、ははは」と自虐的な気持ちになる、というのをずっとずっと繰り返している。

色んな写真家の写真を見ては「なんだこれすげえな」と思い、「自分にはこういうセンスがないなぁ」と思う。そんな人間だから「自由に撮れ」と言われる

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ポートレートを撮る時に考えていたことの一例

ポートレートを撮る時に考えていたことの一例

私とお客さんが納得したらそれでええわい、と思うタチなのであまり写真の解説はしてこなかったのだが、どのように撮影が進むかを話してみるのもたまにはいいかな、と思ったので書いてみる。今回は春画撮影で撮らせてもらったお客さんの一例。

春画撮影とは、私が企画した撮影会のテーマである。「カメラマンや鑑賞者の為ではなく、被写体の為に性を撮る」という内容だった。撮ろうと思った時の話はこちらから→「苦手な写真を撮

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せっかくなんでね。

せっかくなんでね。

世間は大晦日なのであって、ということは私にとっても大晦日なのであるが、年末感にはもう飽き飽きなのであった。毎年毎年よくもまぁ暮れるよね、年。

年末に全く関係ない話をしてやろう、と思いこの文章を書き始めたのであるが、まぁこんな日でもない限り改まって感謝の気持ちを述べることもなかろう、と思い改まった。イベントは結局のところ口実なのである。「せっかくだから」と何か特別なことをする為の。

だからこれか

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何も言いたくないんだもん。

何も言いたくないんだもん。

写真をやっているので、写真に対して質問をされることがある。カメラは何がいいかとか、レンズは何を買えばいいかとか、やれじぇーぺぐとか、ろうがどうとかはまぁ初期質問として、「人はどう撮ったらいいか」「料理はどう撮るべきか」「風景はどうしたら良く撮れるか」みたいな質問。

私に質問した人は、大体この一言で一蹴されてると思う。

「まぁなんでもいいんじゃないすか」

余程答えが絞られる専門的な質問じゃない

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カメラマンをやめた話。

カメラマンをやめた話。

私はメインの集客をTwitterで行ってるのであるが、実はそこでカメラマンと名乗っていない。最近はその設定もグズグズになっているのだけど。ちょっとその辺喋ってみよかな、の回。

どんな仕事にもイメージと現実のギャップがあるものだけれども、私の仕事にも、それは漏れなくあると思う。

カメラマンであると言うと、「芸能人とかモデルとか撮るの?」と聞かれることが多い。その次に「スタジオはどこにあるの?」と

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聞かれるより聞きたいの。

聞かれるより聞きたいの。

ほんの少し前、「独撮」という企画撮影会をした。

お客様から「こう撮ってほしい」という希望を聞くのではなく、「私から見たその人を撮る」という企画である。私の独断で撮る。だから独撮。今回は白ホリという真っ白なスタジオで行った。好き勝手に光を創れる、私の大好きな場所だ。

私が撮影会を企画する時は、大体何かの思い込みを壊したい時である。例えば「ジャージ撮影会」なら「写真だからって別に綺麗な衣装でなくて

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証明する写真

証明する写真

世界報道写真展に行った。毎年必ず開催される写真展で(去年はコロナの為に中止)、私も毎年行っている。日本に限らず、世界中で活躍している報道カメラマンが撮った写真を応募し、その中で順位の高かった写真が展示される企画で、毎年圧倒されるのだが、毎年「順位って要るのかな」と思う。まぁこれは余計な一言。

自然災害、紛争、スポーツなど、様々な写真があったが、今年はやはりコロナに関しての写真が多かった。ビニール

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人に興味を

人に興味を

「人に興味を持て」と何度説教されただろう。まずその説教してくる相手にどうしても興味が持てなかったので、説教されたことは覚えていても、誰にどう説教されたのかまでは覚えていない。

そうして説教されるくらいなのだから、恐らく私は人に興味がないのだろう。全くもって自覚はないのだが、確かに人と話をしていて、なんでそんなことを聞かれるのだろう、と思うことがある。それ、あなたになんか関係あんの?と。

カメラ

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何レターだ。

何レターだ。

専門学校時代に講演に来てくれたカメラマンが本を出していた。何となく気になって読んでみると、「ポートレートは写真家からのラブレター」と書いてあった。いいこと書くなぁ、こそばいこそばい、と思った後、私にとってのポートレートとはなんだろう、と思った。

私が人を撮るようになって、初めてその意義を感じたのは、写真館で写真が苦手な子を撮った時だった。写真苦手な子が喜ぶ1枚を撮りたい。そう思ってから、人を撮る

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「可愛い」って。

「可愛い」って。

どう扱えば良いのか分からない言葉、というものが誰しもあるかと思うのだけど、え、ない?あるんだよ私は。

このような仕事をする前、私は「可愛い」という言葉が大層苦手であった。苦手というより、周囲がどういうつもりでその言葉を使っているのかが分からなかった。誰か1人が言い出したら周囲がこぞって言い始める、そのムーブメントは宗教的に思えたし、正直なところ女子供や犬猫に多用される様を見て「丸くて小さくて左右

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