見出し画像

皇帝も朝はぐずぐず

朝の目覚めの時。

目が覚めてパッと起きることもあれば、布団の中でぐずぐずしてしまうことも。

まだまだ寒さが続く日々。

そんな日々は布団の中でついついぐずぐずの時間を過ごしてしまいがち。

「あと5分。。」

と自分を甘やかして、ついうとうと。

その後の朝の準備がものすごく大変になる事も。

修行が足りないと言えばそれまでなのですが。。

とは言え、ローマ時代のあの皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスでさえも、朝はベットの中でぐずぐずたっだのではないか。。

そうかもしれない、、。

と、思える一節が「自省録」の中にありました。

2000年近く前に書かれた文章を今この時代に読むことができる幸せ。

明け方に起きにくいときには、つぎの思いを念頭に用意しておくのがよい。

「人間のつとめを果たすために私は起きるのだ。」

自分がそのために生まれ、そのためにこの世にきた役目をしにいくのを、まだぶつぶついってるのか。
それとも自分と言う人間は夜具の中に潜り込んで身を温めているために創られたのか。

「だってこのほうが心地よいもの」
では君は心地よい思いをするために生まれたのか。
一体全体君は物事を受け身に経験するために生まれたのか、それとも行動するために生まれたのか。

小さな草木や小鳥や蟻や蜘蛛や蜜蜂までおのがつとめにいそしみ、それぞれ自己の分を果たして宇宙の秩序を形作っているのを見ないのか。

「自省録」(神谷美恵子訳)(岩波文庫p71)

「自省録」が公表を意図していた訳ではなく、自分との対話をしたためていた内省の書であり、皇帝のホンネが出ているもの。

上記の言葉を裏返せば、皇帝がベットの中で、ぐずぐずしている自分を叱咤激励している。

この「自省録」は、自ら皇帝として国防の最前線に赴き、戦いに明け暮れる中、野営テントや皇帝の自室で書きとめていたと言われているもののようです。

上記の部分のホンネ、「自省録」の超訳が許されるのであれば、こんな感じでしょうか、、。

「あ~~今日も一日始まるなあ、、
 皇帝の仕事行きたくね~。
 皇帝の務めを果たせと言われてもなあ、、
 今日もゲルマン軍との厳しい戦いになりそうだし、
 ちゃんと指令出さなきゃいけないし。
 布団の中の方がぬくぬくして気持ちいいもんね。。

 でも行かなきゃなあ。
 俺、全軍を引きているし、ローマ市民の生活かかってるし
 そもそも人間のミッションを果たすために生まれてきたんだし
 宇宙の秩序を守るために自分の持ち場にはせ参じねば。
 うーん、でもなあ、ベットは温かくて気持ちいいんだよなあ。
 さあ、踏ん切りつけて起きようか!」

SatoSato「自省録」超訳

と、ベットの中でぶつぶつ言っているような。

マルクス・アウレリウス・アントニヌスといえば、ローマ帝国の五賢帝の筆頭格。

若くして皇帝に指名され、その大抜擢に応え公務に献身し、絶頂期のローマ帝国を治めた名君の一人。

一方で、帝国の繁栄と平和に限りが見え始めた時期でもあり、帝国への異民族の進攻を防ぐべく周辺諸国の制圧のための遠征を繰り返していた軍人。

ローマ帝国の厳しい舵取りを担った五賢帝のラストランナー。

そして、後期ストア派の哲学者でもあり「自省録」の作者。

そんな「哲人皇帝」と言われている名高い彼でさえも、寝床でぐずぐずしていたかもしれない。

そう思うと、ローマ帝国の五賢帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスに対してなんだかグッと親近感が湧いてきます。

「五賢帝マルクスですら寝床でぐずぐず。いわんや私をや。」

漢文の表現だとこんな感じかなあなどど呟きつつ、時間をかせぎ

寝床でぐずぐずしつつ、、

自分も布団から這い出るタイミングを図る今日この頃です。

いいなと思ったら応援しよう!