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あやふやな国のあやふやな味のアイス 4話 太陽の国のシャーベット
21歳の私は友達8人と共にヨーロッパをバックパックで旅していた。
スペイン・コルドバは中世までイスラム教で、その後ユダヤ教やキリスト教が入ってきた街なので、建物の様式が独特だという。歴史地区に鎮座する世界文化遺産のメスキータ。いかにもイスラムな縞模様のアーチを見て、食いしん坊な私と友達は口々に「ペロペロキャンディーみたいじゃね?」と囁きあったものだ。
白い壁に囲まれた家々を横目に狭い路地をすり抜
あやふやな国のあやふやな味のアイス 1話 頼むと舌打ちされるアイス
認知症になるのを待つまでもなく、いろんなことを忘却している。記憶が溶けて流れて、いろんなものの境目が、あやふやになっている。
たぶん上海の打浦桥駅ビルの地下にあるスーパー。海外によくある、入り口と出口がゲートで、お客さんが逆流できないタイプの作り。その中の木製のアメリカンな雰囲気のスタンドに、色とりどりのアイスクリームが売っていた。店員さんがいつもいなくて、レジの人に声を掛けると、舌打ちしながら
あやふや国のあやふやな味のアイス 5話 ジャリジャリ飴を噛むペニンシュラ
※今回はアイスじゃなくてケーキです。
寒波が襲来したクリスマス目前の金曜日のこと。外灘の半島酒店(ペニンシュラホテル)で、中学の同級生Sと食事した。
私は上海でほそぼそ働いていて、Sは香港でバリバリ働いていた28歳の冬だった。上海へは出張で時々来るんだそうだ。
上海の新宿・南京東路で落ち合って「久しぶり」「15年振りだね」と言い合いながら、賑やかな通りを行ったり来たり、どこで晩御飯にするか迷