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イールズ・アス(ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』)

We’re gonna be pulling one hardcore run, Case, just to get the Flatline’s construct. Sense/Net has it locked in a library vault uptown. Tighter than an eel’s ass, Case. (P.57)
私たちはこれからとってもハードな仕事をしなきゃならないのよ、ケイス。フラットラインのブツを手に入れるためにね。センス・ネットは市街地の図書館の奥にそのブツをしまい込んでるの。ウナギのケツの穴よりも狭いところに、しっかりとね。

William Gibson / Neuromancer (198)

サイバーパンク小説の金字塔より。

今回の書影はドイツ語版を選んでみた。舞台が日本というより香港みたいだし、絵柄も士郎正宗みたい、というか、80年代のパソコンゲームのジャケットみたいで味わい深い。

まだ3割も読んでいないし、造語やスラングが多く、要約や解説サイトを見てもいないので、物語の輪郭がおぼろげにしかわかっていないが、ともあれ主人公 Case と相棒の Molly が construct なるものを盗み出す算段をしている場面である。

気になったのは Tighter than an eel’s ass という表現。

日本語でも狭くて細長い場所の例えとして「うなぎの寝床」などという言い回しがあるが、「ウナギのお尻の穴」だもの、そりゃあ狭いことこの上ない。

以前初めて直腸カメラを入れられた時、ずいぶんみっともない有様になりながら、結局人間って口と肛門のある管なんだな、と思ったものだ。髪の毛が生えてたり、手足があったり、えらそうなこと言ってるけど、言ってみれば人間だってミミズと大差ない。

そういうわけで(?)たいていの生き物にお尻はあるから、ネズミとかヘビとかイワシとか何でもいいわけだけど、ここにウナギを持ってきたのがセンスだと思う。

生々しすぎず、無機的でもない、なにかおかしみのようなものがそこには漂っている。

そういう人に、わたしはなりたい(ええっ!?)


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