家に帰るまでが映画でした
フランス文学者・作家によるエッセイ集。
昔、小説『コーマルタン界隈』を読んで感動して、ひさしぶりに著者のこのエッセイ集を見かけて、手にとってみた。
そう、かつて映画とは、単なるコンテンツではなく、ひとつのイベント、おでかけ、デートだったのだ。
またぞろよくあるノスタルジーだが、映画にしても、音楽にしても、本にしても、昔はまず雑誌やテレビや口コミで情報を集め、出かけていって、入手したり体験したりして帰ってくる、というところまでがセットだった。
遠足ではないが、家に帰るまでが映画だった。
それが今では全部デシタル化されて、いつでもどこでも手のひらの上で楽しめるようになってしまった。
便利だけど、いまさら戻れないけど、失われたもののほうが多いんじゃないか、とさえ思えてしまう。
ただのよくあるノスタルジーなのだろうか。