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はじめてリボルバーを見た中国人は左利きだったのか【中国語】左轮手枪(劉慈欣《暗黒森林》)
罗辑不会认错那东西的,因为它的形状太鲜明也太特殊了:那是一把巨大的左轮手枪,但枪管被打了个结。(p.78)
その形は見間違えようがなかった。あまりにもユニークで、独得だった。巨大な一丁のリボルバーで、銃身が結ばれているのだ。
大ヒットした中華SF第2巻より。何の説明もなく飛行機で連れ去られた学者・罗辑が、あるモニュメントを見て自分がどこにいるのかを悟る場面。
今回初めて知ったが、ニューヨークの国連本部前に、銃身を結ばれて発射できない銃の彫像があるのだそうだ。
ジョン・レノンが凶弾に倒れたのをきっかけとして、非暴力のシンボルとして制作されたという。
そしてリボルバーという名前は、なんとおそらく中国語でだけ、弾丸の装填時にシリンダーを左側に出す、つまりこの銃が右利き用であることが明示されている。
转轮手枪(回転式拳銃)という言い方もあるが、左轮手枪のほうが一般的で、右轮手枪という表現は見当たらなかった。
ちなみにビートルズのアルバム『リボルバー』も、ウィキペディア中国語版によるとやはり「左轮手枪 (披头士专辑)」だった。
憶測だが、おそらく初めてリボルバーを見た中国人は、回転式拳銃であることよりも、それが右利き用であることの方が重要だと考えたのだ。
それはある意味では正しい。
左利きの人間が左轮手枪に弾丸を装填するには、いったん右手に持ち替えなくてはならない。場合によってはその一瞬が命取りになりかねないのだ。
もしかすると最初にリボルバーを観た中国人は、左利きだったのかもしれない。
余談だが、以前知り合いの女性がリボルバーのイラストを描くことになり、出来上がったのを見たらオートマチックだったので驚いた。間違いを指摘したが、「ググったから間違いない」と聞く耳を持たなかった。男子ならあり得ない間違いである。何やってんだグーグル。