空気階段単独公演 fart 感想
空気階段の単独公演、fartをオンラインチケットにて鑑賞しました。
他の人の感想をまだ読んでいないので、見当違いなことを言ってないか、ちょっと投稿するのどきどきしてます。
いつもより長めの投稿になってしまいましたが最後まで読んでくれたら嬉しいです。
1.空気階段を好きな理由
空気階段をはじめて好きになったのは2020年の秋頃、以前から好きだった銀杏BOYZから空気階段(もぐら)へと導かれた。
「駆け抜けてもぐら〜」の回を初めて聴いて、そこから虜になった。
そこからラジオを聴き漁り、YouTubeで本人たちがあげているコントをみたり、よしもとの劇場まで足を運ぶほどどんどん好きになった。
2.単独ライブの魅力
テレビや劇場でみる空気階段のコントは、
本人たちの単独ライブではないため、もちろん1本(多くて2本)で完結するものが多い。
だからコントごとの繋がりとかはとくに感じられない。
だけど、単独公演はちがう。
世界はしょ〜もなくて意外な形で、繋がっていることを教えてくれる。
点と点は限りなく近いところまで近づいて、一見くっつきそうでくっつかない、だけど本当は気づかない、見えないところで繋がってるんだよ、っていうのを見せるのがうますぎる。
彼らのコントは歪な群像劇だ。
annaをみるまでは、空気階段の2人がここまでコントごとの繋がりを大切にしてる人たちだとは知らなかった。
空気階段の単独公演を観に来る人たちってどういう人が多いんだろうと考えた。
権力と金への欲に溢れ、要領が良くて立ち回りのうまい人達が成功していくこの世界で、うまく社会の中で生きられないコント内のキャラクターたちに自身も感じているの「な〜んか生きづらい」の気持ちを重ね、コント内でそのキャラクターたちが肯定されることで自身も肯定され、勇気を貰っているんじゃないかなと思った。
実際私がそうだ。
こちら側の人間として生きることは何も悪いことなんてない、そのままの自分でいいんだと、
要領よく世界の中で立ち回れない自分を肯定してくれることへのじんわりとした感謝がある。
3. fartの感想
昨年のannaだけでなくbabyなどの過去の単独もみた上でも、今回のfartに対する期待値はかなり大きかった。
結論的に言うと、私はこの人たちにずっとついていくぞ!と改めて心に誓った。
個人的に一番好きだったコントは、「一子相伝」
徳川将軍のものまねを娘に一子相伝する父親とその娘ちゃんのコント。
父の絶妙で可愛らしい奇人感と、徳川家のモノマネという設定の雑さと、それをなんやかんや受け入れる思春期の女の子の懐の深さと純粋さが全部愛おしかった。ちさとちゃんは若干、前回のannaにでてくる、あんなちゃんを彷彿とさせるような女の子だった。
最後までみるとまぁこれが一番肝になるコントだったのですけれども。
エンディングが終わっても、
私はこの女の子、ちさとちゃんのことが気になって気になって仕方がなくて。なんだかずっと頭から離れないんだなぁ。みんなもそうなんじゃないかな。
今回の単独のタイトルとなっているfartの意味をちゃんと辞書で調べてみた。
①おなら、屁(のようなもの)、臭気ガス
②〈軽蔑的〉むかつくやつ、嫌なやつ、くだらないやつ、ろくでなし、愚か者
空気階段のコントは②のろくでなしや、世間一般的にくだらないなぁと言われることを、
真正面から全力で取り組んでる人への愛を面白おかしく描いてる。
とくに今回のfartは、田舎から上京する青年にスポットライトがあたっているわけだけど、
かつて岡山から上京してきた水川青年を彷彿とさせる(最終的に慶應の幼稚舎上がりの陽キャに心をずたずたにされるわけだけど)描写があって、
若かりし水川かたまりのIfの世界を書いているんだなと思った。
あのとき、もっと上手い切り返しができていたらとか、こうしてたらいいなっていうのは、別にかたまりだけじゃなくて私含めてみんなある。
大学生になる前にもっとメイクの勉強をして、早めに垢抜けていたら…とか社会人になった今でも普通に思う。
ブルーハーツの「人にやさしく」が流れて、
つとむちゃんが登場して、fartのタイトルが現れた瞬間、「あー絶対今回も最高なんだな」と確信した。
かたまりがNSCに入る前に決心がついたきっかけがブルーハーツの「未来は僕らの手の中」を聴いたときだったみたいなので、それもちらついた。
そしてもぐらは本当に素敵なお芝居をするなぁ。
あのきれいな並行二重の、憂いのある瞳がたまらない。その目は、ときに根っからの変態おじさんの目にもなるし、一途に恋する少年みたいなかわいらしいおじさんの瞳にもなるし。本当にすごいよ。
変で憎めなくてでもなんかうざかわいいおじさんキャラクターの中にも、悲しい真実や思い出や人情があって、それをしっかり感じさせるのがうまい…
そして超絶阿呆なことを詭弁な口調で相手に詰め寄り、さも正論であるかのように丸め込む頭の回転のはやいおじさん。これは、もぐらご本人の生き様や資質がしっかり継承されているよなぁと思います。
空気階段というコンビで頭がいいインテリ担当は、一見、慶應に現役合格したかたまりに目がいきがちだけど、私はもぐらも相当やばいと思う。(大阪芸大の凄さだけじゃなくて。)
普段出さないだけで、相当賢くて地頭が良くて容量の良い人だと思う。
ラジオ聴いてても、正直かたまりよりもいろんな意味で賢いのはもぐらなのだと思う。(鋭さと切り返しと人たらし能力は地頭が良くないと絶対無理だと思う)
話は逸れますが、エンディングで流れる銀杏BOYZの「少年少女」の歌も本当に今回のコントにピッタリでか、な、りよかった。銀杏ファンでもあるので、好き同士の共生は感謝しかない。
「おはよう」の「お」を彼女が口にした瞬間から好きになってしまったその恋の始まりと、
30年越しに果たした好きな人との約束という美しいコント(時におならとう○この音ばっかりできたないけれど)の流れに合った、素敵なテーマ曲だなぁと思った。
とにかく来年も楽しみ。
来年こそは現地でみてたいな。面白くて心がじんわり沁みて、だけどめっちゃ笑えて、勇気をもらえた最高の単独公演だった。