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②アンビエントノイズに漂って / Glo, The Polyphonic Whale

アイルランドのメーカーPhonicBloomの”Glo, The Polyphonic Whale(version 2)”のinfinite looperを使って即興で曲を作りました。

▼機材到着までは下記記事


ライブパフォーマンスは非推奨?

Gloにはもともと森や風などの環境音とセッションできるモードの他、リバーブ、グラニュラーサンプラーなどのエフェクトが実装されています。

マイク(ステレオ?)が内蔵されているので、屋外に持ち出してその場の音を取り込んでループさせてという使い方が推奨?みたいです(個人的見解)。マニュアルにライブパフォーマンスでは推奨されないみたいな記述が書いてあったような。。。

瞑想する時に鳴らす周波数のモードもあることから、ライブ向きの機材というより、自分で楽しむ用のアンビエントマシンと思われます。

なので今回制作した曲は、メーカーが意図しないような使い方かもしれません(多分そう)。ですがあえてライブパフォーマンスの機材として使いました。

制作した演奏動画

キーボード上のハンカチは、使った楽器を置く際、振動音が鳴らないようにするためです。

動画ではシンプルなセッティングに見えますが、レコーディング→ミックス→マスタリングの工程を想定し、下記のイレギュラーなことをしました。

セッティング

-①コンデンサマイク(SE8)→ミキサー(Main out)→Glo(out)→オーディオインターフェイス

-②上記のミキサー(ALT out)→オーディオインターフェイス

-③キーボード(microSAMPLER)→オーディオインターフェイス

ループと素の音を分けてRec

Gloの内蔵マイクを使うとミュートできないので、コンデンサマイクをミキサー経由でGloに入力しました(Gloには外部入力があり便利!)。

コンデンサマイク SE8

ループを重ね終えたあとに弾くキーボードの打鍵音や周囲の音がGloの内蔵マイクから入力されてしまい、その音もループされてしまうからです。

音を重ね終わった後にミキサー側でミュートして、余計な音が入らないようにしました。

-②上記のミキサー(ALT out)→オーディオインターフェイス 

ちょっとしたテクニックなのですが、ミキサーのミュートボタンをONにするとALT Busから音を出すことができます。そしてALT Busはオーディオインターフェイスに接続されています。

つまり、

通常、コンデンサマイクの音はGloへ入力されるのですが、マイクをミュートするとマイクの音はGloへは入力されず、素の音がそのままオーディオインターフェイス経由でlogic pro xの別トラックへと入力されるわけです。

ですので、曲の最後でコードを弾きながらspark shakerを演奏していますが、そのシェーカーの音はマイクで集音されているにも関わらずループされていないわけです。しかもGlo(ループのトラック)とはトラックを分けてミックス処理ができます。

マイネル スパークシェーカーSH18

キーボードの音はモノラルでlogic pro xに録音し、EQやコンプで下処理した後、DUALディレイをかけてステレオにし、neunaberのクセの強いリバーブをセンドでかけて広がりを出しました。

リバーブの後にコンプをかまして残響の音色を少し強めました。ルーパーの音がガチャガチャし過ぎたので、それらと対照的になるようにキーボードの音は、広がりと奥行きを印象的にしました。

ライブパフォーマンス的な意味あいで、キーボードの音にリバーブをかけ録りするのもありだと思うのですが、ミックスのやりやすさを優先してEQはかけずに、フラットな状態で録音しました。

モニターはSony MDR-7506ヘッドフォンで行いました(ミックスしやすくかなりお気に入り!)。撮影をミラーレス一眼Sony α6300+タムロンのレンズを使用してカメラには直接ヘッドフォン・スプリッターからモニター音を入力しています(カメラ内蔵マイクは使用せず)。

動画編集時、映像に録音と同じ音声が収録されているとFinal Cut Proで音声同期機能を使用できるからです(手動で映像と音声の同期を行うと時間がかかります。しかもシビア。。。)

使用楽器/ 機材

-Looper : Glo the Polyphonic Whale
-Keyboard : microSAMPLER(サスティンペダルはKORG padKONTROLからMIDI送信)
-Percussion : Spark Shaker SH16,SH18 / セミーヤ(Gloの横に吊っている) / 鈴 / Stomp Box / 小さなシンバル?(名称不明)
-Other : ウクレレFS-5 / メタロフォン(goldon) 
-Mixer : MACKIE 802VLZ
-Mic : SE8
-オーディオ I/F : FIREFACE UCX
-DAW : logic pro x

ストンプボックス プラグドでも接続できます
ドイツのgoldonの知育楽器メタロフォン 少しキーを変更することも可能。いい音色!
コンデンサマイクはGloの上部にセッティング。ヴィジュアルが大砲みたい

アレンジをどうしようか迷う

Gloのルーパーはひとつひとつの音に関して短い時間しか取り込めず、しかも取り込んだ後、ピッチを変化させてループする仕様です。またループは減衰型(ディケイが無限ではない)なので、徐々に重ねた音が時間の経過とともに消えていきます。それを踏まえた上で音楽として成立するようにあれこれ試しました。

とくに前半は音がカオスになる時間帯もあってごちゃごちゃするので、キーボードの音以降、その状態の中に光が差し込むような、何もないところに道ができるような雰囲気にしました。

しかも密度の高いループの音とは対照的に、奥行きと広がりがあり、整理されたサウンドになるようにしました。

ループの音が三連符に聞こえたので、キーボードのグルーヴをそれにあわせました。

ループで重ねた音はポリリズムのような複雑さがあったので、2000年代初期の北欧エレクトロニカ、例えばmumの初期作品のグリッチ的なリズムトラックに通じるものを感じました。

音色にこだわる

"音色にこだわる"ことは自分にとって音楽を作る上での重要な要素です。即興で音楽を作る場合であっても演奏より"音作りのこだわり"に重きを置く傾向があります。

例えばスパークシェーカーの底(ヘッドと反対面)を指で鳴らした時の「ポンッ」という電子音のような響きには愛おしさすら感じます。(もしも好きな音色をお互いに話しあう会があったら参加したい)

ということで、今回はGloを使った即興曲について書きました。

次回は声を入れることで、ポップな傾向が強い曲にトライしたいです。自然の中でフィールドレコーディングをした音を楽曲に取り入れたり、アイデアを膨らませてアンビエントな感覚を消化できればと思います。

2024年3月7日追記

声は入っていないですが、Gloのinfinite looperに環境音を入れ、Model:Cyclesのトラックとあわせたアンビエント曲を制作しました。


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