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#30 そこのアイロンに告ぐ! (号外#1)

そこのアイロンに告ぐ
ただちに熱くなれ
他のなにも考えず
なにも要求されず

『そこのアイロンに告ぐ』冒頭

という常ならぬ歌詞で始まる曲をご存知でしょうか?1986年の矢野顕子さんのアルバム『峠のわが家』に収録されている、『そこのアイロンに告ぐ』という「究極の家事ソング」です。2009年の東京Jazz でジャズピアノの上原ひろみさんと「夢の共演」をなさった動画があるので、ぜひ記事を読みながらお聴きください。ポップスの枠を完全に抜けた「血湧き肉躍る」名演です。


一番家事らしい家事?

家事にも「まあまあ家事」と「ものすごく家事」があるように感じます。僕のイメージでは、「アイロンがけ」は「ものすごく家事」の一つではないかと思うのですが、みなさんどう思いますか?何を隠そう僕はアイロンがけが大の得意で、ドイツへ来る前は妻の服も含めてアイロンがけは僕の仕事でした。レディースのワンピースで、デコルテプリーツがあるものでもバッチリ仕上げます。

ゲストハウスの洗濯事情

今住んでいる大学のゲストハウスでは、地下に洗濯室と乾燥室があります。洗濯室には写真のように洗濯機と乾燥機が。日本では乾燥機で乾かすとシワだらけになることが多いので、大切なシャツやジーンズは干します。でもこちらでは、水質が違うせいか、綿素材ならば干すよりも乾燥機で乾かす方がふんわりとシワなく仕上がります。ただ、僕は麻素材のシャツが好きで、かつ「シワ感」を残しながらではなく、ピンとした麻シャツを着たい派なので、アイロンがけが必須になります。

ドイツらしくミーレ社の洗濯機&乾燥機〜とても強力
乾燥室〜家族で来ている学生もいるため、子ども服も多い

告げなくてもすぐ熱くなった!

乾燥室にはアイロンとアイロン台も備え付けられており、今日初めて使ってきました。230ボルトだからか、あるいは日本の自宅で使っていたものがコードレスのため非力だったのか、備品のアイロンはものすごく強力でした。どのくらい強力かというと、アイロンがけが倍楽しくなるくらい!
 思わず持って行った iPhone で好きな音楽をかけて、アイロンがけタイムを楽しみました。音楽業界にいた頃は「最新の音楽についていかないと」みたいな妙な気持ちがありましたが、今は違うので、大好きな 1992-1993年頃の J-Pop を流しながら、幸せな時間を過ごしました。


その地に根ざす瞬間

思えば、25年前にオーストラリアに留学していた頃、「自分はこの地に住んでいる」と腹に落ちた瞬間は、友人のアパートで初めて料理をした時でした。寮のカフェテリアで食事をして、大学で講義を聞いているだけではなんだか「住民になりきれない」感じがしていたのですが、料理をすることで一気にその地に暮らす実感を得たのを覚えています。

ドイツでは料理は随分としていますが、今日のアイロンがけで「住民になれた」感覚を得ました。学生は洗いざらしの「シワ感シャツ」を着ていることも多いですが、僕はやはり襟がピンと伸びたシャツを着ていたいので、これからも週に一度の「アイロンがけタイム」を楽しみたいと思います。

日本は猛暑に台風が重なっていますね、みなさんご安全にお過ごしください。
今日もお読みくださって、ありがとうございました👚👕
(2023年8月10日)

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