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#162 歯を食いしばって頑張るのも、たまにはいいものだ 〜アイントホーフェン・マラソン参戦記

昨日10月13日日曜日は、今暮らしている街で、「アイントホーフェン・マラソン」が開催された日でした。僕もハーフマラソンの部で出走し、自己ベスト更新はならなかったものの、無事完走しました。そして実は、日本でもドイツでもオランダでも、「自分が住んでいる街を走る」のは初めてでした。
(ヘッダ画像はこちらの大会サイトより)



出ようかどうか、迷った大会

今勤めている大学の研究室(HTI = Human-Technology Interaction 研究室、総勢80名ほど)はスポーツが盛んで、多くの人が何かしらのスポーツをしています。4月末に引っ越してきて指導教授と話すと、「何かスポーツはするの? えっマラソン? じゃあ、10月の大会走らなきゃね」とすぐにメンバーに入れてもらいました。意気揚々とエントリーし、ハーフの自己ベストである1時間49分5秒(2023年軽井沢ハーフマラソン)を更新すべく練習に励む、はずでした……

ゼッケンに「TORU」と名前が入っているので、沿道で応援している方から、五度ほど「トオル、がんばれ!」と声をかけていただきました。メダルにあるように、第40回目の大会でした

しかし実際は、小説を書いたりピアノを弾いたりという新しい趣味が続々と始まってしまい、気がつくとマラソンの練習はおろそかになっていました。前日土曜日の夜まで、「今の状態ではどう考えても自己ベストは出せないし、だったら出るのはやめようか」と考えていました。それでも、今年が第40回という節目の大会であること、この街の大会を走れば、この街をより知れるような気もして、当日朝はなんとも言えない複雑な気持ちで会場へ向かいました。自転車です!

昨年の反省

しばらく大会には出ておらず、直近は昨年9月にデンマークで出た「コペンハーゲン・ハーフマラソン」で、そこでの記録は自己ベストに8秒届かない1時間49分13秒でした。しかし、記録はそこそこだったものの、つけていた Apple Watch で測った脈拍データを友人の看護師に見せたところ、「これ危ないよ、いつ倒れてもおかしくない数字だよ!」と指摘を受けました。平均脈拍が180回/分で、ピーク時は 190回/分以上に達していました。

走るスピードを遅くして、脈拍を低く抑えるトレーニングが必要でした。年齢を考慮すると、平均が170回/分を超えない範囲でレースを完走できるようにするのが理想です。
 日本にいた頃は、スポーツジムのトレッドミル(ランニングマシン)で主に練習していたのが幸いして、スピードは自分の体感覚で分かります(「時速 10km で走ってください」と言われれば、何も見ずにほぼ走れます)。同様に、脈拍が170回/分を超える時の感覚を体感覚として掴んで、それを超えないように普段から走る練習が必要だ、と感じていました。

しかし、オランダへ来ただけで、脈拍を下げることはかなり達成できました。理由が分かりますか? それは、オランダでは通勤は基本的に自転車! 自宅から大学までは自転車で15分の距離なので、毎日30分自転車に乗る生活をしています。その効果か、普通に走っても脈拍が170回/分を超えない身体に、少しずつなってきたように思います。

朝一番にスタートしたクォーター・マラソン(10.5km)の部の様子

デンマークとオランダ、どう違った?

昨日の結果は、ハーフマラソンのタイムが2時間3分36秒という、言うならば、「20代の若者なら、特に練習をしなくても出せるタイム」でした。全体順位でも上位半分に入れず、正直悔しかったです。日本では常に上位3分の1に入れていたので、もちろん順位やタイムのために走るわけではないのですが、やはり次は1時間49分を切りたい(できれば45分を切りたい)と思いますね。

5km ラップタイムを見ると、25秒ほどの誤差はあるものの、ほぼイーブンペース(同じ速度で走る)ができていたことが分かる〜全体順位は、6000位内には入りたかった

今回は、楽しく走れたのはせいぜい 5km 地点くらいまでで、その後は「忍耐のマラソン」になってしまいました。15km 以降は、「余計なエネルギーをとにかく使わない」ために、遠くは見ず、前のランナーの足元をひたすら追いかけて距離が過ぎるのを待つような走り方になってしまいました。それでも 19km まではキロポストを見る余裕がありましたが、20km のキロポストは目に入らず、足元から目を上げたらすぐ先にゴールが見えたという、不思議な経験をしました。

昨年のデンマーク、コペンハーゲン・ハーフマラソンと今回のオランダでのマラソンは、似た部分も異なる部分もありました。似ていたのは応援で、これは日本ともあまり違わず、コース上のあちこちでブラスバンドやロックバンドの演奏が行われていました。あるバンドが演奏していた曲が、なぜか僕が小さい頃に、少しだけエレクトーンを習っていた頃、最初の発表会で弾いた曲でした。その曲を聴いた後少しだけ元気が出ました。

コペンハーゲンでは規模も大きかった和太鼓パフォーマンスがなかったのは、日本人コミュニティが小さいからかもしれません。あとは、コペンハーゲンではかなりの数いた「乳母車ランナー」(赤ちゃんを乳母車に乗せて、押しながら走る)を一人も見かけなかったこと。最後に、オランダはかなり平らな国ですが、コースの平坦さではコペンハーゲンが上でした。

*     *     *

来年への抱負

来年は秋を待たず、日本にいた時のように、3ヶ月に一回は大会に出て、練習のペースをつかみ直したいと思います。そして、以後の本番では、気持ちよく顔を上げて、できるだけ先まで「楽しんで」走りたいと思います。ハーフなら、15km 地点くらいまでは楽しんで走りたいですね。
 来年9月のコペンハーゲン・ハーフマラソンには、雪辱を果たすべく出たいと思っています(今月22日にもうエントリーが始まります!)。今回の敗因は、練習不足だけではなく、昨年からの体重増もあったので、毎日の練習と食生活の見直しも合わせて取り組んでいきたいと思います。

それでも、昨日完走できたことは、「やっぱりやればできる」という自信につながったので、これで仕事である研究も、小説執筆も、音楽も、軌道に乗ってきた「しあわせ探求庁」の活動も、その全体に潤滑油がのった感じがします。

マラソンの国際比較でよく言われることに、「日本人は悲壮な顔をして、苦痛の中で走っている」「海外選手は無理をせず、楽しく自分のペースで走っている」があります。それでも、今日のフルマラソンの部のゴールタイム5時間前後(つまり初級ランナー)を帰り道に見ていると、オランダ人ランナーもそれはそれは悲壮な顔をして一生懸命ゴールを目指していました。
 「なんでも無理せず心地よく」が評価されるようになった時代の流れはとてもいいと思いますが、「ここ一番」のチャレンジの時には、苦痛の中歯を食いしばって頑張るのもいいものだ、と思った今日でした。今回のアイントホーフェン・マラソンでは、なんと3万人のランナーに20万人の観衆が出たそうです。

オランダ人のことなので(差別ではなく、親しみを込めて)、今日は遅くまで飲んでいて、明日はあちこちで仕事に遅刻する人が続出するのだと思います。それでも、「マラソンの翌日だから、仕方ないよね」で通ってしまうところが、いかにもヨーロッパ的ですね。こういう時こそ、日本人っぽく、時間通りオフィスに入っていようと思います。

今日もお読みいただいて、ありがとうございました🏃🇳🇱
(2024年10月14日:第40回アイントホーフェン・マラソン翌日)

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