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思いつくまま、気の向くまま
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2016年6月の記事一覧

ワールドエンド

曇った朝 目を覚ました

立ち上がって 上を見た

天井が見えたんだ 

青空が見たかったのに

つまらないやと 目を閉じた

雨降る昼 目を覚ました

窓辺に座って 空を見た

雨の粒を見てたんだ

青空が見たかったのに

つまらないやと 目を閉じた

霧煙る夜 目を覚ました

ベッドにもぐって 窓を見た

白い霧が見えていた

青空が見たかったけど

しょうがないねと 目を閉じて

さよならっ

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箱庭

 

 ある日、白い箱を貰った。

 僕はそれで、箱庭を作ることにした。

 

 僕はたっぷりの土を、白い箱に詰め込んだ。

 そうして、緑色の苔をたっぷり植えた。

これでよし、と僕は笑った。

 ある日、土を詰めた箱庭にあきた。

 僕はそれに、何か新しいものを加えることにした。

 

 僕は小さな花を選んで、箱に植えた。

 それから、小さな木も植えた。

 これでよし、と僕は言った。

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猫の都

 ベッドの上で夢を見た

 うるたぁるへと、行く夢を

 うるたぁるは猫の都 夢の中の都 

 あたしそこへいって、君とあそぶ夢を見た

 銀のつみきと、金のまりで遊ぶ、猫の夢

 地の底下る 階段と

 雨音響く、静かな祈りにいざなわれ

 うるたぁるへと、地の底下る、夢を見た。

 ベッドの上で夢を見る

 うるたぁるへと、行く夢を 

 うるたぁるは夢の都 猫の住む都

 あたしそこへいって

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ある時

 ある時、僕は古い季節を閉じこんだ本を作った。

 赤いビロードの表紙をしていて、金色の字で、君の名前が書いてある。

 僕はこの本を君のために作った。

 ベッドの上から動けない君のために作った。

 インクには初夏の一番香りのいい若草をなぜてきた風を使った。

 本の紙には、コスモスの妖精に、花びらの一等やわらかいところを分けてもらって使った。

 本には春の花々の一番きれいな姿と、雪の精たち

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おつきさまほしい

 おつきさまがほしい

 まあるいきんいろおつきさまほしい

 ぎんいろのじゃあいやよ

 くれないのでも、いやよ

 おつきさまほしい

 おつきさまほしい

 とってきておくれ まあるいのを

 そしたらあたし、色ガラスのコップに

 まっさおなソーダ水を注いでおくから

 そこにおつきさまをいれとくれ

 

 そしたらあたしたち、一つのコップからおつきさまのもう

 きっとあまいよ、かぜの

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