箱庭
ある日、白い箱を貰った。
僕はそれで、箱庭を作ることにした。
僕はたっぷりの土を、白い箱に詰め込んだ。
そうして、緑色の苔をたっぷり植えた。
これでよし、と僕は笑った。
ある日、土を詰めた箱庭にあきた。
僕はそれに、何か新しいものを加えることにした。
僕は小さな花を選んで、箱に植えた。
それから、小さな木も植えた。
これでよし、と僕は言った。
ある日、花を植えた箱庭にあきた。
ぼくはそれに、何か新しいものを加えることにした。
僕は小さな椅子を選んで、箱に置いた。
少し物足りなかったので、小さな人形も置いた。
これでよし、と僕は言った。
ある日、箱庭を開けると、壊れていた。
僕はそれに、もう新しいものを加えられなくなった。
壊したのは木だった。
僕の植えた小さな木が、大きく育って、箱庭を壊した。
苔は千切れ、花はかれ、土はこぼれて、人形は壊れた。
そこで僕は箱庭の中身を、木と一緒にすべて捨てた。
空っぽの箱に、僕は作り物の薔薇を置いた。
それが僕を裏切らない、ただ一つの花だった。