掌編小説310 - 窓から鳩を飛ばしています
鳩山探偵事務所の「鳩山」はもちろん単純に俺の苗字だが、文字どおり鳩が山のように集まることも、じつはままある。デスクのうしろが大きな出窓になっていて、そこに腰かけて窓を開けると、頭に肩に腕に脚に、次から次へと鳩はとまった。
「へぇ、やっぱり浮気してたんだ」
ぐるるぽー。愉快な音でニヨは返事をした。便宜上「ニヨ」と名前をつけているが、あくまで従業員であって飼っているわけではない。二十四番目の従業員なのでニヨ。助手を手配するときはいつもこうして、番号からそれらしい名前をあてがっ