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筋トレのコツ2:効率良く筋力を発揮するには拮抗筋の柔軟性が不可欠

この記事では筋トレを続けていく上で重要になるコツの中でも、「主働筋」と「拮抗筋」についてまとめています。

タイトルにもあるように、筋力を効率良く発揮するためには、拮抗筋となる筋肉の「柔軟性」が必要不可欠です。しかし筋肉の柔軟性は単に伸ばすようなストレッチだけでは獲得できません。


主動筋と拮抗筋の役割について考える

例えば仰向けに寝た状態から上体を起こす「腹筋動作」においては、お腹の中央にある腹直筋が収縮する間、その裏側、すなわち背中にある広背筋や僧帽筋などの筋肉も同時に伸ばされています。

この時、関節を動かすために、「主に」収縮して、力を発揮している筋肉の事を「主働筋」、主動筋の収縮によって、逆に伸ばされている筋肉の事を「拮抗筋」と言います。また関節を動かす運動においては、複数の筋肉が同時に収縮する場合もあり、主動筋と共に働く筋肉の事を「協働筋」と言うようです。

前述した腹筋動作の場合、上体を起こす際に働く主動筋が、お腹の中央にある腹直筋です。また拮抗筋は、背中にある僧帽筋や広背筋、あるいはお尻にある大臀筋や太ももの裏側にあるハムストリングスなどになります。そして協働筋は、お腹の側面にある腹斜筋、太ももの表側にある大腿四頭筋、あるいは背骨と骨盤を繋いでいる腸腰筋などになるでしょう。

関節の運動に関わる筋肉は、当然関節によって大きく異なりますが、このように収縮している筋肉(主働筋)がある場合、必ず同時に伸ばされている筋肉(拮抗筋)があるのです。


主働筋のストッパーとなる拮抗筋

そのように主働筋が収縮する場合、同時に拮抗筋が伸ばされます。よって主働筋となる筋肉を素早く収縮させるためには、拮抗筋がなるべく素早く伸ばされなければなりません。でなければ、拮抗筋が主働筋の収縮を邪魔してしまいます。

例えば前述した腹筋動作で言えば、腹直筋を素早く収縮させるためには、広背筋が素早く伸ばされなければなりません。広背筋が素早く伸ばされないと、腹直筋には力が入っているのに、体が起こせないというような事が起こります。よって主動筋となる腹直筋が、効率良くその筋力を発揮するためには、拮抗筋となる広背筋の柔軟性が重要になるという事です。

一方、主動筋をそうして素早く収縮させると、関節が許容する可動域を超えてしまう事があります。腹筋動作で言えば、そのまま体を起き上がらせ続けると、いずれは背骨が折れ曲がってしまいますよね。それを防ぐために拮抗筋は「ストッパー」として機能し、主動筋の動きを制限する事ができます。

つまり拮抗筋は「柔らかすぎてもいけない」という事です。柔軟性と聞くとストレッチをイメージしますが、例えば筋肉を伸ばし続けるようなストレッチでは柔軟性は高まっても、何かに耐える力や反発する力は下がってしまいます。時には血流を促し、筋肉を動かしながら行う動的なストレッチを取り入れるようにしましょう。

尚、それは別の言い方をすると、「主働筋は強すぎてもいけない」という事です。例えば腹筋を割りたいからと、腹筋動作ばかりを何度も繰り返す人は多いのですが、そうして腹筋ばかりが強くなると、拮抗筋とのバランスが崩れ、それが怪我の原因になる事があります。拮抗筋となる広背筋も一緒に鍛えていくべきでしょう。


主動筋と拮抗筋をバランス良く鍛えるには?

例えば前述した「腹筋動作」で言えば、主動筋となる腹直筋を鍛えるのと同時に、拮抗筋となる広背筋も同時に鍛えていく事が重要です。

一方、そうして「特定の筋肉」をピンポイントで鍛えるようなトレーニングを続けていくと、人によっては、得意な種目と苦手な種目とで、トレーニング効果に差が出てしまう事があります。

例えば腹筋を鍛えるようなトレーニングは得意でも、背筋を鍛えるトレーニングは苦手・・・というような場合ですね。その場合、自分ではバランス良く鍛えているつもりでも、意図せず、筋力や柔軟性のバランスが崩れてしまう事があるのです。

しかしながら、そこで焦って、いきなり筋トレの量を増やしたりすれば、オーバートレーニング、あるいはオーバーワークになってしまう事があります。何故なら、腹筋を鍛える種目の強度は変わっていないのに、そこに背筋を鍛える苦手な種目が加わっており、自分が想像する以上に肉体的・精神的な負担が増えているからです。

そうして活動と休息のバランスが崩れ、肉体・精神の回復が滞れば、トレーニングを長期に渡って休止せざるを得なくなる事もあります。

そこでポイントになるのが、得意な種目を敢えてペースダウンさせる事です。つまり腹筋を鍛える筋トレが得意なら、その量を敢えて減らすようにします。そうすれば苦手な背筋を鍛える筋トレを加えても、活動と休息のバランスを維持できます。

また背筋を鍛えるのが苦手という人の場合、実際には特定の種目だけが苦手で、普段行った事がないような種目が得意だったりする場合もあります。例えばバックエクステンションやデッドリフトは苦手でも、ワンハンドロウイングやラットプルダウン、あるいはチンニングは得意というような場合です。そうして他の種目を取り入れ、ある程度続けていくと、背中の筋肉も鍛えられ、苦手意識が薄れていきます。その後でバックエクステンションやデッドリフトを行うようにすると良いでしょう。

更に同じ種目でも、扱う重量を敢えて軽くして、素早い収縮を高反復で行ったり、単純にダンベル・バーベル・チューブ・マシンなど、扱う道具を変えたり、あるいはセット数・重量・反復回数・インターバルを変えて行うなどしてみましょう。そうしてそれぞれの種目を「異なる実施方法」として行う事でも、主動筋と拮抗筋のバランスが改善される事があります。

拮抗筋を日常的に使うようにしよう

筋肉が持っている「機能」を最大限に発揮するためには、その筋肉への「血液の流れが良い」という事がまず重要になります。

尚、血流の改善に伴う「筋肉の機能の改善」と聞くと、「収縮させて力を発揮する事」だけが改善されるように思ってしまいますが、筋肉の機能には「伸ばす事」も含まれており、血流の改善によって実は柔軟性も改善されます。

すなわち拮抗筋の柔軟性を真に高めるためには、単純に「その筋肉が主働筋として使われる頻度を高め、血流を促してあげる事」が重要になります。前述で「単に筋肉を伸ばし続けるようなストレッチを行うだけでは不十分」と言ったのはこれも理由です。

「筋肉を使う頻度を高め、血流を促してあげる事」を更に簡単に言うと「日常的に使うようにする」という事です。例えば腹筋動作で言えば、拮抗筋となる広背筋の柔軟性を高めたい場合、広背筋を鍛えるような筋トレとは別に、「広背筋を日常生活で使う」という事です。

ただしそのためには「どのような動作の時に主動筋として使われるか」という事をあらかじめ知っておく必要があります。

ここでは長くなるので簡単に説明しますが、例えば広背筋が主動筋として機能するような動作では、「立った状態あるいは座っている状態で、上半身を前に倒して、その上半身を起き上がらせて戻す時」「正面を向いたまま、右または左の脇腹を伸ばした状態になり、そこから体を元に戻す時」「正面・下・横・上にある何かを手で持って、それを体側に引き寄せる時」「お尻や太ももを体の後ろに引く時」などがあります。

例えば室内での家事にしても、注意深く探してみると、意外とそのような動作はたくさんある事が分かります。それらの動作を意識的に行うようにするだけで、自然に背中の筋肉が使われ、それによって血流が促され、いつの間にか柔軟性が高まっているのです。

体が硬い事に悩んでいるという人は、もしかしたら普段の体の使い方(癖)に問題があるかもしれません。いくら筋肉を鍛えたり伸ばしたりしても、その体を上手く使えなければ意味がありませんからね。


筋肉を柔らかくするのはストレッチだけではない

筋肉を伸ばす「ストレッチ」には、体を静止させた状態で筋肉を伸ばし続ける「スタティックストレッチ」があります。おそらく「ストレッチ」と聞くと、多くの人がそれをイメージすると思います。

しかし中には、体を動かしながら筋肉を伸ばす「ダイナミックストレッチ」や、ダイナミックストレッチの中でも、反動などを使ってリズミカルに体を動かす「バリスティックストレッチ」、更には筋肉に負荷を与えながら伸ばしていく「徒手抵抗ストレッチ」というものもあります。一口にストレッチと言っても実際には様々な種類があるのです。

その他、前述のように筋肉への血流を考えれば、筋肉へのマッサージはもちろん、温熱(温熱湿布の他、タオルなどを温めてそれを充てる、風呂に入る、サウナに入る等)、振動(機器を使ったバイブレーションの他、単純に運動をして筋肉を揺する事)などもあります。

これらは一時的ではありますが、血流を促す作用があると言われています。時には有酸素運動を行うのも良いでしょう。有酸素運動と言えば脂肪を燃やすイメージ(ただし筋トレでも脂肪は燃えます)ですが、血流を促す事ができ、実は柔軟性を高める効果があります。

ちなみにストレッチについてはまた後日記事にしますが、そもそも筋肉を伸ばす事による効果は一時的なもので、6~8時間程度経てば元に戻ってしまいます。またあまり強い力で伸ばしてしまうと、伸張反射が起こって、それがストレッチの妨げになったり、あるいはあまりに長時間行う事で、本来は伸びてはいけない組織まで伸びてしまう事があります。

よってスタティックストレッチは行うにしても1回20~30秒程度で十分です。柔軟性を高めると言っても焦ってはいけません。ストレッチに限らず、毎日、少しずつの積み重ねが重要です。ストレッチを「単に伸ばし続ければ良い」と思っている人は結構多いので・・・注意しましょう。


主動筋と拮抗筋を活かす「体の使い方」を覚える

筋肉は勢い良く伸ばされた時、反射的に縮む性質を持っています。これを「伸張反射」と言います。特に急激に伸ばされた場合、その勢いに負けてそのまま伸ばされてしまうと、筋肉の細胞やそれを覆っている様々な組織が壊れてしまいます。そうして反射的に縮む事で、必要以上に伸ばされる事を防ぎ、筋肉や周囲の組織を守っているのです。

実はこれは運動の際にも利用する事ができます。例えば背筋の場合、完全に脱力させた状態から背筋を収縮させるよりも、一旦背筋を勢い良く伸ばして、その後に背筋を収縮させるようにします。つまり体を反らせる背筋動作で言えば、背中を一旦勢い良く丸めて、その後に体を反らせるようにする訳です。

こうする事で、背筋を意識的に収縮させる前に、まず反射的な収縮が起こり、その反射的な収縮の勢いを利用して、背筋の意識的な収縮を行う事ができます。これを利用すれば、背筋を使う事が苦手な人でも、タイミングさえ上手く掴めれば、無駄な力を消費せずに背筋を使う事ができます(その感覚を掴むためのトレーニングは必要)。

尚、背筋を勢い良く伸ばすためには、腹筋の基本的な筋力が必要です。また背筋を勢い良く収縮させるためには、腹筋の柔軟性も必要です。つまり主働筋と拮抗筋がお互いに上手く機能していなければ、この動作はスムーズにできません。

何が言いたいのかと言うと、主働筋と拮抗筋、それぞれの筋力と柔軟性が『要求されるような運動の機会を、意識的に増やす事』が重要なのです。これは前述の「日常生活で使用機会を増やす」とほぼ同じです。人間にはその環境に適応する能力があり、その動きを行っていくと、その動きができる体に変化していきます。それによってやはり自然と柔軟性も高まります。




以上です。お役に立てれば幸いです。

「サポート」とはチップのようなものみたいです。頂いたチップは食品やサプリメントなどの検証に活用させていただき、後日記事にしたいと思います。