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多分、一生聞かれることのない袋麺の麺の好みについて勝手に答えてみた。

Q.袋麺の麺は、「揚げ油麺」と「ノンフライ麺」のどちらがお好きですか?

「何ラーメンがお好きですか?」や「麺の硬さは、どれがお好きですか?」などは、会話の中で聞かれる質問だと思う。これまでの人生でも、聞かれたことがある。でも私の人生において、袋麺の麺の種類の好みについて聞かれることはなかったし、これからも、ないだろう。

だから、自分で聞いて、勝手に答えてみることにする。

🍜


袋麺。

私は袋麺を昼ごはんに食べることが多い。
こんなに簡単で美味しく、アレンジも自在なお昼ごはんは他にない、とさえ私は思っている。

カップラーメンの方が簡単に作れるとは思うのだけど、なんだかちょっと手抜きしすぎた感があるし、アレンジするのは難しいと感じている。だから、カップラーメンは、飲んだ後の〆に食べることが多い。酔っ払ってるから、知性や品性、はたまた理性もなく欲望のままに食べている。

袋麺は作るのに手間がかかる。もちろん洗い物だって増える。正直言って、めんどくさい。

でも最近の袋麺は種類もたくさんあるし、かなり美味しい。いろんな味の袋麺を、自分の好きなように具材をトッピングして食べることができるのは、カップラーメンにはない楽しみ方の一つだと思っている。

とある日の昼ごはんに、私は買っておいた袋麺を食べた。

選んだのは「川崎のソウルフード」とパッケージに書かれた、「元祖ニュータンタンメン」。
私は元祖ニュータンタンメンのことはよく知らなかったけれど、美味しそうだったので手に取ってみた。3袋入りを購入していたが、その日は最後の一袋だけが残っていた。3袋のうち2袋は、すでに夫と長男が食べたらしい。この残された一袋は、私の分として彼らが残しておいたものに違いない。いつまで経っても迎えが来ない最後まで残された保育園児のように、ニュータンタンメンは寂しげに私を待っていた。

同じ棚にストックされているとんこつラーメンや、醤油ラーメン、担々麺などがきっとニュータンタンメンを慰めてくれていたに違いない。

「もうすぐ迎えにくるって」
「最近、胃の調子が悪いみたいだから、牛乳を飲んだ後に来るのかも」
「心配しなくても大丈夫よ。あなたのことは忘れてないから」

という会話が、繰り広げられているかもしれない。
私はそんな妄想をしながら、さっとニュータンタンメンを手に取ると、裏側の作り方を確認した。

なるほど。卵がいるらしい。
宮崎辛麺のようなものだろうか。

私は鍋にグラグラと湯を沸かし、早速、元祖ニュータンタンメンを作ってみた。

鶏ガラにニンニクと唐辛子のパンチが効いていて美味しかった。これはビールだなぁなんて思いながら、麺をずるずると啜る。個性のあるパンチの効いたスープは飽きるかと思いきや、全くそんなことはなかった。むしろ後を引く美味しさだった。スープは全部飲み干さないぞ!と思っていたが、結局、最後までスープを飲んでしまった。

丼の底に「最後の一滴まで飲み干してくれてありがとう」なんて文字は書かれていないのに、黒い丼の底から、うすらぼんやりと文字が浮き上がって来る気がした。「スープを最後まで飲まない」という決意をすぐに覆してしまった私を嘲笑うかのように、残されたちぢれた麺がニヤリと口元を歪ませたように見えた。

丼の底を覗く時、丼の底もまたこちらを覗いているのだ

レオチェ


最近の袋麺はかなり美味しいと、私は思う。
ハズレがない。スープはかなり美味しい。私は袋麺を食べる時、勝手に袋麺の課題は麺だなと思ったりする。私は袋麺開発者でも、食品メーカーで働いているわけでもないので、麺の限界について考えたことも知る由もない。それでもきっと、現在の一袋およそ100円という低価格で提供できる麺の限界はすでに超えているのではないかと思う。日持ちもするし、軽いし、保存も簡単だし。これ以上の麺を望んではバチが当たる気さえしてきた。


と、麺について思いを馳せた今こそ、私は冒頭の質問をしてみようと思う。

Q.袋麺の麺は、「揚げ油麺」と「ノンフライ麺」のどちらがお好きですか?

A.ノンフライ麺です。


ツルツルした麺が、私は好きだ。



では、ここまで読んでくださった奇特なみなさんに、質問をさせていただきたいと思います。
きっとあなたは今、この質問に答えたくなったのではないですか?
多分そうですよね。いや、間違いなく答えたくなったはずです。

では、私からの質問です。
回答するかしないかは、あなた次第です。


Q.袋麺の麺は、「揚げ油麺」と「ノンフライ麺」のどちらがお好きですか?





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