零細企業代表取締役

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なぜ独立した?④

当時中央区の下町に事務所があった。 その地域の公民館を借りた会議が始まった。 少ない東京営業所でも呼ばれないメンバーがいたからだ。 本社工場と付き合いのある地銀からきた顧問と社長、俺、頭の切れ過ぎる事務員の四人で会議をする。 まずは現状の問題共有。 と言うか欠席裁判だな。 頭の切れ過ぎる事務員はここぞとばかりに不満をぶちまける。 かろうじて名指しされないのはその場に居たからか?名指しされた上司達の所業はその通りだが一つ見方を変えればそれはそれでありだとは思う。 「あんたどう思

    • なぜ独立した?③

      ポールスミスは伊藤忠の引きだ。 もともと加工糸の海外販売を伊藤忠と組んでいたので新素材の紹介を国内メーカーに働きかけてくれていた。 結果あちこちのアパレルから問屋を通じて素材の問い合わせが入る。 アパレルダイレクトに販売してない当社としては当たり前の流れだがその大手問屋たちのクセを知らないある意味、無垢な素材メーカーは翻弄される。 基本上からしか言われない。 ブチ切れ、無愛想は当たり前。 こちらからの電話は出ない。 要件はお願いと言うより命令。 そんな時、大手の生地問屋の

      • なぜ独立した?②

        その頃、我らの使命は世界で高いシェアを誇る自社加工糸を使用した生地の国内シェアを上げることだった。 その生地は海外事業部と同様、国内においてもフォーマル用途に多く使われる。 国内におけるその生地のトップシェアは東レの原糸をもちいた加工糸で作られており、テイジンの原糸をもちいている我が社はそもそも見向きもされない。 理由は単純だった。 テイジンはチタン含有量が高いのでドレスを撮影すると黒ずんで写る。 残留収縮が高いのでアイロンで簡単に縮む。 それと我が社の作る生地の緯糸が

        • なぜ独立した?①

          いまから20年近く前に会社を創業した。 理由は単純で勤めていた会社の社長とケンカしたからだ。 当時は「およげたい焼きくん」みたいだと思っていたものだ。 10年半勤めたその会社は繊維業界の中小企業ながら独自の技術で世界に高いシェアを誇っており逆に国内においては5%ほどのシェアしかなかった。 アパレル出身の私が繊維素材メーカーを選んだのはアパレルのモノづくりに繊維製造知識を求めたからで3年で辞めようと思っていた。 石川県にある加工糸の本社工場と外部の機屋、染色工場で7ヶ月