バイアスクソ野郎にならないために:『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』(6/6)【間違いだらけの読書備忘録(19)】
こんにちは、さらばです。
現在、以下の本について備忘録を書いています。
鈴木祐『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』
1~5はこちら。
バイアスを取り除くための技法
本書の構成は、
ステップ1:幸福度に関係しない職業選択における7つの要素
ステップ2:仕事の幸福度を決める7つの徳目
ステップ3:仕事の幸福度を下げる8つの要素
という感じで、これまでこのステップ1-3について書きました。
残るは、
ステップ4:バイアスを取り除くための技法
ステップ5:現職場を判断し、行動する方法
のふたつですが、個人的な興味が1-3に集中したので、4-5については断片的に気になった内容を書くに留めます。
ステップ4のテーマは「バイアス」です。
1-3で触れてきたことが事実だとして、"なぜか"ひとはステップ1にあったような、幸福度に関係しない項目を優先して職業を選ぶ傾向があります。それはひとえにバイアスのせいだという話です。
人間にはバイアスがあり、どう気を付けてもそこから完全に抜け出すことはできません。ただ、意思決定のプロトコル(手順)を決めることで、多少はバイアスの影響を弱めることができる……その方法を著者は幾つか紹介しています。
「10/10/10テスト」
これは、以下三つの問いを頭の中に浮かべつつ、意思決定の方向を考える方法です。
この選択をしたら、10分後はどう感じるだろう?
この選択をしたら、10ヶ月後にはどう感じるだろう?
この選択をしたら、10年後にはどう感じるだろう?
放っておくと視野狭窄に陥り、目の前しか見えなくなりがちな人間の特性を踏まえ、敢えて未来のことを想像することで、バイアスを外そうとする方法だそうです。
「プレモータム」
聞き慣れない言葉ですが、これは「失敗を前提に意思決定する」という方法です。
目の前にある選択をした後、敢えて失敗するイメージをします。そしてその失敗がなぜ起きるか、どういうプロセスで失敗するかを想像し、どうすれば失敗しないかという考察をします。そのイメージの中で、なんらか気付きがあれば意思決定の精度が上がるということです。
「イリイスト転職ノート」
これも聞き慣れない言葉ですが、「自分の行動を三人称として記録する」という方法だそうです。
例えば日記を書くとき「わたしは~した」ではなく「あのひとは~した」という感じで、敢えて三人称で記録することで、客観的に自分の選択を見る方法とのこと。
書くと、記憶と違いあとから改ざんできないことと、自分の意思決定の癖・パターンが明確になるのがポイントだそうです。
「友人に頼る」
これは解りやすいですね。
結局他人のフィードバックというのはひとりで考え込むより遙かに重要だということでしょう。
とある研究でも、本人の自己申告より友人に尋ねた性格判断のほうが格段に正しかったそうです。
ちなみに、全く知らない他人でも、写真を見てある程度どんな人間か予測できてしまうらしいです。理由は明らかになっていないそうですが、なんとなく似た相の人間を知っていて、経験から予測できるということですかねえ。
「親友イメージング」
これは、わたしが大好きな(?)方法です。
脳内の友人と会話するだけでもある程度バイアスから逃れられるそうで、イマジナリーフレンドが大量に存在するわたしにはうってつけです。
具体的には、自分の身に起きていることが親友に起きたと想定し、アドバイスを考えるというやり方だそうです。漫画でも「あいつならこんなときどうする?」みたいなシーンがたまにありますが、あれが「親友イメージング」かと思いました。
まとめ?
ステップ5については実際の現職場を評価する方法や、その上で改善を試みる方法について書かれています。
これは今回、実際に試していないので触れません。
わたしは現在転職活動中というわけじゃないのですが、したくなったら是非本書の内容を参考にしてみようと思いました。
わたしの仕事に対する考え方は邪道だと思っていたのですが、わりと合致する内容が多かったです。
まあ、とは言え本書が扱っているのはあくまで「職業選択時に、個人が重視すべき観点」についてであり、「成果を出しやすいかどうか」はまた別であることは踏まえるべきでしょう。
世の中には「社員はしんどいけど業績がいい会社」もあります。ただ、個人的にそういう会社では働きたくないですし、社員が幸福だからこそパフォーマンスが最大化して、結果として会社が儲かりやすい、みたいなこともあると信じたいです。
もちろん、経営が儲けの方法を編み出せているかどうかが一番大きいと思うので、「社員が幸せなら儲かる」と思うほど脳内お花畑にはなれませんけど。
というわけで、結局全6回になってしまいましたが本書の備忘録はこれで終わりです。
お読みいただきありがとうございます。
さらばでした!
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