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クッキーの哲学
好きな食べ物はたくさんあれど、子どもの頃からずっと好きなものといったら、やっぱりクッキーです。
幼稚園の頃作ったタイムカプセルを大人になって開けたときのこと。そこに入っていた、未来の自分へ当てた手紙には、
「クッキーやさんになってますか?」
と書いてあって、笑ってしまいました。
お菓子屋でもなく、ケーキ屋でもなく、クッキー屋というところに、クッキーへの執着を感じます。
子どもの頃の私がこよなく愛したクッキーといえば、ステラおばさんのクッキー。
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家族で買い物に行った駅ビルに店舗があり、よく買ってもらいました。
アメリカのホームメイドな雰囲気のドロップクッキーは、一枚一枚が大きくて食べごたえ抜群。
最近流行りの、洒落たデザインの缶にお行儀よく収まっている、あんな小ぶりなクッキー、目じゃないわ、といわんばかりの存在感。
そんなステラおばさんのクッキーは、大きいからこそ、ぼろぼろこぼれます。
でも、そこがいいんです。
ロシアの有名な作家チェーホフは「物語の中に拳銃が出てきたら、それは必ず発射されなければならない」という格言を残していますが、
クッキーを愛する私ならこう言います。
「おやつにクッキーが出てきたら、その破片は必ずこぼれなければならない」
ぼろぼろこぼれないクッキーなんて、クッキーじゃないのです。
アメリカの有名な怪物(?)クッキーモンスターだって、ぼろぼろこぼしながらクッキーを食べています。これこそクッキーの正しい食べ方でしょう。
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ワンハンドで食べれて、いつでもどこでも持っていけるクッキー。クリームたっぷりのケーキではそうはいきません。
また、クッキーは親しみのあふれるものです。今や、お煎餅と対をなすくらい、おばあちゃんちのちゃぶ台の上に置いてあります。
総じて「気取らない雰囲気で人を和ませる」それがクッキーというものです。
クッキーは、その作り方も、人を悩ませたりするものではありません。特に、ドロップクッキーは、特別な技術も型も必要ない。
スプーン一本あれば事足りる、まさにクッキーの中のクッキーであります。
今日作るのはオートミールを使った、ザクザク感が嬉しいクッキー。
材料と、レシピをば。
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上砂糖よりきび砂糖の方がざっくり食感が出やすいです。薄力粉ではなく中力粉なのも、同じ理由です。
①室温に出しておいたバターをクリーム状にします。(多少固くてもミキサーで少しずつやれば、柔らかくなります。)
②砂糖をすり混ぜて、(すりすり)
③卵黄、ハチミツを混ぜて、(まぜまぜ)
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④粉類とオートミールを入れ、テキトーに混ぜます。(混ぜすぎるとザクザク感がなくなるので、高田純次くらいテキトーに。)
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⑤最後にチョコチップを混ぜたら、天板にオーブンシートを敷き、生地をすくい落とします。
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一家に一本、ディッシャーを。
⑥平たくなるように手でならし焼いていきます。ザクザクとした食感を出すには、平たくするのが大事です。
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待つこと20分。焼けたー!
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ケーキクーラーにのせて冷まします。焼きたては柔らかいのですが、冷めるに従ってサクッとなります。
口に入れると、ザクザクとした食感の中に、チョコが程よいアクセントになって、あと引く美味しさです。
例によって、食べかすがこぼれますが、あとで掃除すればいいこと。そんなの気にしません。
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ひとりでいっぱい食べたくなっちゃうけど、クッキーとは人と分け合うものでもあります。クッキーモンスターはこう言いました。
「最後の一枚のクッキーを分け合えるのが、本当の友達だよ」
いつも食いしん坊なわたしには身につまされる、神々しいお言葉です。
この時ばかりは、ぼろぼろとこぼさないように、慎重にクッキーを割りたいものですね。
※クッキーのレシピは、ムラヨシマサユキさんのレシピを参考にしております。