真っ暗な海の向こうのあなたへ
ことばを書くということは、くらやみに光を放つこと。真っ暗な海の向こうに、必ず読み手がいる。そう思うことが光です。
詩人の白井明大さんのことばだ。
今受けていることばの講座では、こんな風になんとも優しく力強いことばの側面と、一方でしっかりと届ける相手ーーディストリビューションを想定して打ち出すといったマーケティング的側面と両方を教わっている。
たしかに、いいものを作っても届かなければ意味がない。自己満足の世界で終わってしまう。それでも、私は白井さんのことばにとても共感する。そして、最近、冒頭のことばを実感する出来事があった。
もともと私は中学生くらいから日記帳に日記を書いていたが、あるきっかけから誰にも教えないブログに形態を変え、やがて信頼している人には自分の文章を見てもらいたいと思うようになった。こうして耐性がついてきた私は、少しずつ自分を表現できるようになってきた。
自分を開くということは、怖いことでもある。今の私にとって、Facebookはあまり安全な場所ではなくなっている。ありきたりなコメントも、返すのが億劫だ。関係性も近しい人もそうでない人も雑多にいる場は、自分をよく見せようとか、いらない意識も働く。
白井さんは、誰のためにことばを書いているのですか?
そう尋ねた私に、彼はこう答えてくれた。
ことばを使う時点で、他者が聞いたり読んだりすることが可能になる。それで十分だと私は思います。一方で、ために、が杖になる時もあります。持ったり置いたりできるのが、杖のいいところです。
誰も書いたことがないことを書くのは勇気がいるし、孤独なこと。自分が密かに感じている新しいことを書くには、一人になる勇気が必要なんですよ。
初めてブログに文章を書き始めた時の、あの気持ちを思い出す。そこは安全で、何を書いてもよくて、自由で、最高に楽しかった。ひっそりと、粛々と、下手でもなんでもいいから自分をそこに開くこと。
noteの距離感は、今の私にちょうどいい。
でもこれって一体、誰に届いているのだろう?そう思うときもあったが、私は私のことばをただ放っていればいい。ハードルを低く、楽しみながら続けていく。
(35w5d)