人が「自分の存在」に気付く瞬間は、ちょっとしんどい
過去に無意識に感じた想いや感情が、急にぶり返してくる瞬間が誰にでもある。
「怖い」
「悲しい」
「許せない」
「嬉しい」
「楽しかった」
「わくわく」
「虚しさ」……
自分や人、物や出来事などに強く感じること。
そのきっかけは、ちょっとした誰かの文章や、会話の中で言われた誰かの言葉かもしれないし、
本のある一文かもしれない。
歌のある菓子や曲かもしれないし、
たまたま見たドラマや映画のあるシーンかもしれない。
人によってさまざまだ。
怒りや悲しみ、喜びや嬉しさも……全部。
理由は説明できるほどはっきりしなくても、涙として出てくることがある。
そんなときは、
「なぜ今、自分はそこに反応したのか?」
って、存分に自分に意識を向けて、興味を持ってあげるといいのだと思う。
そのポイントは、実は自分の人生にとってかなり重要なヒントなことが多いからだ。
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嬉しいことや、わくわくすることを思い返すのは、自分にとっての活力や生きがいになる。大事な自分の満足ポイント。
だけど辛いことって、人は忘れたいし、しんどいからなるべく考えないようにするもの。
けどあえて、勇気を出して意識を向けてみることで、自分が思っていた以上に、ダメージを受けていたことに気付くかもしれない。
すると、
「別にわたしは平気だ」
「周りはもっと大変な人も、辛い人もいる」
「みんなもやっていることだから、わたしもそうして当たり前だ」
「自分はもう大人だから」
「自分は親だから」
などと思って、何でもない風にしていいたとしても。
本当は全然そうでなくて、心の中でたくさん泣いていたり、冷や汗をかいていたりする自分がいるかもしれない。
「誰か助けて」って本当は言いたくて、心の闇に溺れそうになっているのかもしれない。
目の前の家族や親友やいつも関わる人にさえ言えなくて、表面的な会話でやりすごしている人もいるのかもしれない。
人のためにいつもがんばって、我慢強い傾向のある人はなおさら。
「自分の問題だから、全部自分でどうにかしなくちゃ」って。
物質的には人と一緒にいても、忙しくてバタバタしていても。
どこかでぼんやりと「孤独」や「ひとり」を感じている人や、自分の感情に時間がたって気付くが多い傾向にある人は、ギリギリまで自分のことには気付かない人が多い気がする。
だけど今忘れているだけでも、どうにか日々をやり過ごしているだけでも。
そのときに感じてなかったようにした、これまでの無意識レベルのものを含めての「あらゆる感情」は消えることはない。
だけど、そんな想いを世界中の人が抱えながらも。
「どうしようかな……」って、もがきながらも、立ち止まりながら、目の前に起きることに向かって懸命に生きているのだなって思うと、ちょっとだけ勇気が出てくる。
けして「自分だけではない」って、知るだけで少し救われる。
感じ方の大小はあるのだろうけど、言わないだけで、隣のあの人も、いつも見るあの人も、きっとそうなのだと思う。
だからわたしは、純粋に「あぁ、自分も、みんなも。生きているだけですごいな」ってわたしは尊敬する。
そもそも、悲しさや辛さや嬉しさなどの感情は、人と比べるものではない。
それが他人からみたら「些細なこと」「たいしたこと」ないという反応をされたり、評価されたりしたとしても、気にしなくていい。
自分がそう感じて思っていることが、自分にとっては本当で、大きなことだからだ。
自分が心から「うれしかった」「たのしかった」「かなしかった」のなら。
それでいいじゃないか。
自分のことをスルーする人が多い中で、自分が「本当はそう思っている」ということに自覚できたのは、すごいじゃないか。
自分の心を守れるのは、最終的には自分だけなのだ。
物質的なもので溢れるこの社会では、たくさんのルールや仕組み、物や出来事に溢れてしまっている。
それら単体自体は悪くなくて、むしろこの世を生きていくには便利で、ありがたいこと。
だけど、それらが自分の感情までも「こうあるべき、そうあるべき」や「正解や間違い」に無意識にこだわって、振り回されてしまう人もいるのだろう。
本当の想いを見失って、辛さも楽しさも「よくわからない」と麻痺して生きている人が多いのかもしれないな、とわたしは思う。自分を含めて。
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自分の感情が急に雪崩のように湧き出てきたときは、いつもよりも自分に興味を持って意識を向けるタイミング。
自分が気付くまでは、人生の中で何度も事例が変わってやってくることが、不思議とある。
関わる人や、事例は変わっても、なぜか似たようなことが起きるとき。
そんなときは、息をするように人に対してかけてきた優しさと同じように。
勇気を出して自分のために優しさを向けてあげるときなのだと思う。
自分の存在に、本当の意味で「気付くこと」からはじまること。
それは、ちょっとしんどい。
けど、あなたにとっては大切なこと。
昔を振り返って、最近また、改めて実感するこの頃。