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ライターの師匠であるイオさん記事を読んで、「働くとは」について考えたのでメモしておきたい。

この記事を読んで、働くっていいなと思った。記事に出てくるケーキ職人たちが皆、楽しそうに感じられたからだ。その言葉にもカメラを向けられ写真に映る姿にも、躍動感を感じる。私が特に印象的だったのはこの言葉。

前職の最後の部署では「なんでも知っている長老」扱いだったのに、今は「なにも知らない若手」になって、その変化を楽しむ。
「客観的に自分を見ると、面白いですね」

「この歳になって怒られるって、かみさんぐらいなんでね。
ある意味新鮮です」

年齢や経験を重ねるほどに、組織のなかでは長老に近づいていく。「先輩」の存在がいなくなっていくのだ。41歳で会社を辞めた私でさえ、当時働いていた100人ほどの支社に、自分より年上の「先輩」は3人しかいなかった。お客さんは毎日変わるし、求人企業も日々入れ替わる。異動が多い組織では、上司も一緒に働くメンバーも変わる。仕組み化は進み、覚えることも増える。新しく入ってくる若い人から学ぶことも。刺激的な環境だったからこそ、14年半働くことができた。

ここにいても、もう誰も俺のことを怒ってくれへん。
若い上司も俺に気を遣ってくれてんねん。

前職でお世話になった最初の上司の言葉だ。その上司は、新卒から長年勤めたその会社を辞めて、年収4分の1くらいになって海外へ転職した。当時の私は30代前半、上司は40代半ばくらいか。「海外でも暮らしてみたいし、新しいことをやってみたい」と語り日本を出て行った上司の言葉が、ずっと心に残っていた。だからこそ、ケーキ職人の方の言葉が響いた。

会社を辞める頃、私も感じるようになっていた。「もう誰も怒ってくれない。チャレンジもしてないんじゃないか」。慣れるな慣れるなと思ってはいたが、手放せない「慣れ」はある。「慣れ」があるからこそ、成り立っていた生活でもあった。

今、新しい環境に飛び込み、失敗しまくっている。フリーランスなので上司はいないが、失敗や自分のできないことは、そのまま仕事の結果として現れる。日々、凹みながら学ぶ毎日だ。

上司はいないがお師匠はいて、仕事先の編集さん、クライアントさんがいる。嬉しい言葉も、厳しい言葉も温かい。のびしろだと信じている。

私にとって「働くとは」なんだろう。自分が生地だとすると、ボールに入っている材料を混ぜてこねこねして、たたいたり伸ばしたりしながら柔らかくして、好きなカタチを作って焼きあげていくことかもしれない。

バターを入れた方がおいしいとか、醤油を隠し味に入れようとか、何度も試作を繰り返す。ひとり作業の時間もあれば、みんなで集まり情報交換する場もある。焼き上がったパンが楽しみなのだけど、何よりもパンを作る過程が好きなのだ。その仕事をしている自分が何を感じているのか、どんな技を身につけるのか、その技を身につけた自分はどこへ向かうのか。これからも観察していきたい。


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サオリス・ユーフラテス|正しい道より楽しい道を。最短距離より,寄り道を楽しんで。
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